それ 認知症かも

認知力の衰えを頑なに否定する年老いた母。それを反面教師に自らのこれからを考える息子。

視空間認知力

昨日認知症関連のTV番組を検索していて目についたことがあった。

名医とつながる!たけしの家庭の医学 認知症総チェック&名医の改善法スペシャル

この番組がどうこうではなく(特段お勧めしたいわけでもありませんが)、その番組紹介中にあったこれ;

「カラオケでトイレに行ったあと、自分の部屋が分からなくなる」…そんな人は要注意!“視空間認知力"の衰え…『駐車場テスト』と『展開図組み立てテスト』で認知症リスクをあぶり出す!

 

すぐに思い出したのは、先日包括さんから聞いたあの話;

www.masakahontoni.com

「ご自宅から集いまでの往復に問題は見られないが、開催場所の建屋内(結構大きな自治体施設)で、一旦トイレに行くと元の部屋に戻れなくなる、迷ってしまう事が見受けられる」と担当者からの指摘も受けております

 

f:id:masakahontoni:20181225181401p:plain一旦トイレに行くと元の部屋に戻れなくなる・・・これだ・・・視空間認知力。今まで行動・心理症状/BPSDのことばかり気にしていたが、視空間認知障害は中核症状だ・・・。

こちらのサイトの「徘徊」に関する説明文中に視空間認知についても記されています。「徘徊」といっても色々あり、

  1. 物忘れによる道迷いの結果の徘徊
  2. 視空間認知障害による道迷いの結果の徘徊
  3. 常同的周遊(周徊)
  4. 差し迫った必要を感じてある目的地に向かって歩く徘徊
  5. ご本人も目的がよくわからずソワソワ歩く徘徊
  6. せん妄による徘徊
  7. 今いる場所が退屈なため出歩く徘徊

の七つがあげられている。

母の「トイレに行くと元の部屋に戻れなくなる」視空間認知力に関わる項目はこの中の2番目;

私たちは目で見た情報を脳の中で分析して方向、距離、位置などを把握します。このようなことができなくなった状態を視空間認知障害と呼びます。アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症の方は、視空間認知障害が起こりやすく、このために道に迷います。よく知った家の近所で迷う、昔から住んでいる家のなかで迷う、トイレの場所がわからないなどの場合は、これによる可能性が高いです。

 

さすがに”未だ”家の中で迷う、トイレの場所がわからない、といった素振りはありませんし、受診拒否のためアルツハイマー型なのかレビー小体型なのか自体、正式診断が下りているわけでもありません。(が、私自身はアルツハイマー型認知症と確信的に感じています)

それでも、ほぼ明確に視空間認知障害と見られる挙動が外出時の母に現れている、ということは、「(若干なのかどうなのかは別にして)母の症状に以前に比べ進行が見られる」と判断すべきということなのか。「徘徊」の範疇で考えるのは少々衝撃が大きい・・・行き着くところはあの「徘徊」なのかと。

残念ながら、食生活含め変わらぬ日常生活が続く限り、母にとりついた病の進行はとどまることなくつづいてしまうのかもしれません。

その進行を少しでも食い止めるべく様々な手段もあるはずなのに、自ら一歩を頑なに踏み出そうとせず引きこもりを決め込む母・・・言葉になりません。

 

こちら(pdf)の「ひもときテキスト」のアルツハイマー型疾患の項「現存能力の活用や症状へのアプローチ治療・ケアのポイント」にはこうあります;

  • 認知症があっても保たれる能力を活用する。手続き記憶(体で覚えた記憶、スキル)や意味記憶(長く保存された知識の記憶)は比較的保たれやすい
  • 感情は豊かでユーモアは保たれている
  • 現存能力を評価し治療プログラムを作成する(例・視空間障害がある時には絵画や書字訓練を実施すると混乱と苦痛を与える)
  • 本人に保たれている能力を活かして楽しめるプログラムを

気になるのは(例・視空間障害がある時には絵画や書字訓練を実施すると混乱と苦痛を与える)という部分。

私のいつもの”取り越し苦労”or”心配のしすぎ”であってほしいが、以前は買いそろえた花の塗り絵を楽しいと打ち込んでいた母が、この数ヶ月全く手をつけなくなった。

本人曰くところの理由は「根を詰めすぎて疲れるから」。本当だろうか?

 

 よく目にするこの認知症の症状と経過を表したグラフ。視空間失認は中期症状に属するものだ。ただ、現状の母を見るに、限られた場所での軽度の視空間認識に障害が出てきた、ということなのだろうと医者でもない私は判断している。