あっ!
切ってしまった・・・!
押し間違えたのだ。
不意の着信でよくやるミス。
(施設からだ・・・)
慌てて折り返し電話を入れる。
もしもし?
あっ、すみませんでした・・・
いえいえ、私の方からかけなければいけませんのに・・・
少々ご報告すべきことがありまして・・・
はい・・・
太もも裏の痛みについてですが、何度も訴えられるので本日整形外科を受診いたしました。
先生からは、脊柱管狭窄症からくる痛みなので仕方のないものだと。
・・・そうでしたか・・・拘縮というよりは・・・
はい、圧迫骨折そして狭窄症により神経が圧迫され「その部分」に痛みが出ているのではないかと。
お母様のほうは、そんな骨折などした覚えがないと驚かれていましたが、先生から「ほら、ここが・・・」などとレントゲン写真で説明を頂きました。
お部屋からトイレに向かう際に痛みを訴えられ、また湿布薬など貼ってもすぐに剥がされてしまうので、「どうしても痛む時」に服用するようにと先生から鎮痛剤を処方して頂きました。
このまま痛みが続いて自立排泄が難しくなってしまうと、それはそれで大変なことになってしまいますが、気候的な影響もなきにしもあらず・・・なので、しばらくは夜間に限り、ポータブルトイレをお部屋に設置して用を足してもらうことにしました。
それと、こういう言い方もなんですが、ポータブルトイレを設置したことで、お部屋の移動をする一つのタイミングではないかと・・・
(自室内での行動がより増えるので、外部環境の変化から受ける影響が少なくなるかもということかな・・・)
そうですか、ご配慮ありがとうございます。
その週末、施設を訪れると、母の部屋は隣のユニットに移動していた。
トイレへの動線も直線的で行き来する間に障害物もない、前のユニットにおける部屋と変わらないポジションに新しい母の部屋は位置していた。
ドアの覗き窓から部屋の中をうかがうとベッドに横たわった母が見える。寝ているわけではないようだ。
コンコン、コンコン、コンコン、3度程ノックしてから、部屋に入る。
あら、来たの!よかった。
つい先日来たじゃない。
そうだったかね?
寝てたの?
こんなところで寝られるわけないじゃない。
いやね、いつだったか、昨日だったか、一昨日だったか、こちらに来たんだよ。
それがね、姉さんが来て「私も楽しみたい」っていうからここにいるだけで、わたしは仕方なくいるんだよ。
(姉さんか・・・)
姉さんって、xx子さんのことでしょう?
この前母さんから聞いたよ。すぐ上の姉さんが、xxさん。カタカナ二文字で・・・
そうそう・・・
でも、当時はxx子さん、xx子さんと「子」をつけて呼んでいた。本当はカタカナ二文字でxxさん・・・
そうだよ、よく知ってるねぇ。
この前母さんから聞いたからね。
これも何年か前に母さんから聞いた話だけど
「あ〜あ、私がこれで一番長生きだ」と・・・
そうだったかねぇ? ということは姉さんはもう・・・あれだね。
そういうことになるねぇ。
多分夢の中で会ったのでしょう。会えたのは良かったけど、それが現実と混ざってしまっているのでしょう。
太もも裏の痛みはその後どう?
今日は痛くないけど・・・なぜかこちらの足、片方だけ爪先の方までじ〜んと痺れているような・・・
先日、施設長さんから連絡あったよ。
整形外科を受診したんだって?あまりにも痛い痛いと母さんが訴えるので。
そんなことあったかな?
それで先生から言われたらしいよ。脊柱管狭窄症からくる痛みじゃないかって。元々母さんは骨粗鬆症、そして脊柱管狭窄症だったでしょう?
そういえば去年も今頃の時期に突然足腰が痛くなって寝込んでいた。あのときT病院に脊柱管狭窄症からくるものだから仕方ない、と言われたって・・・
そうだったかねぇ・・・
ここのところ療法士さんから、こちらにいる男性の療法士さんだけど、わかるかな・・・
その人から膝関節周りの拘縮からくる痛みではないかと言われずっとマッサージを受けてきたでしょう?
・・・う〜ん・・・
(記憶にはないか・・・)
古傷・・・②へつづく