メモを置きおもむろに歯科医が発したその言葉に心底驚いた。
・・・ただ、奥歯が欠けてますね
エッ・・・えぇっ?
医師が傍らにある歯科模型を手に取り 奥歯二本の間あたりを指さす
こことここ、ですね。実際に見てみますか?
と手鏡を渡されのぞいてみるが、今ひとつよくわからない。
ただ、言われてみれば四隅?が隆起している部分、そのうちの一部分がのぺっとしているように見えなくもない。
ピーナッツとかよく食べるとか・・・?
アーモンドなら毎日のように食べますが・・・それで欠けますかねぇ?
そんなに脆くなった?
・・・。
どうしますか?
・・・このままにしておくと問題ありますか?
・・・そうですね・・・そこから虫歯にというリスクはあります。どうするかは決めて頂くしかありません。
・・・となると、詰める・覆い被せることになりますね。
そうですね。処置する場合は、今回と次回、2回で完了します。
あとは、何を材料に使うかという判断をしてもらうことになります。
判断というと?
保険のきく銀にするか、自費診療となる方にするか・・・。
変色等を気にしなければ銀で○千円、自費診療で金の場合は純度により変わります。純度が○○%と高ければ○○万円、○○%の合金なら○万円・・・。
6月4~10日は「歯と口の健康週間」。しかし、歯の治療をつい先延ばしにする人も多いだろう。
ということは、私の場合はx2となりますね。
そうなります。
高いと言う方もおられますし、安いと感ずる方もおられます。
・・・
では、○万円の方でお願いしましょうか?
それにしても、子どもの頃の金歯が最後と思っていたのに・・・また金歯が増えますか・・・。
残念ねぇ
それではこれから少々削りますね
キーンという機械音が部屋に響く。痛みが神経に響く。
痛いですか?麻酔しましょうかね。
(歯科治療というものがそもそも初めてですからね・・・未経験の痛みというやつかな・・・)
矯正はしてないでしょう?歯並びいいですよねぇ。
目鼻の並びはよくないんですけどね、
ぐらいは返したいところだが、今はそれどころではない。大口開けたままなすがままの状態だ。
仮の蓋を被せこの日の治療は終了。
大抵の場合、初診時はまずレントゲン撮影。そして歯磨き指導やら歯石取りやらで何回か通うよう指示されることが多いと聞くが、そんなこともなく、その点では良心的なのかな、と勝手に思っている。
それにしても、歯周病が心配で門をくぐったのに、こんなことになろうとは予想だにしなかった。
それでも今度母を見舞いに行くときの会話ネタにはなるのかもしれない・・・が。
ところで日本医師会がこんな動画をアップしている。
歯と口の健康週間2019年6月4日~10日
その晩、施設長から連絡が入った。
「もう騙されないぞ」と言い放った母はどうしているのだろうか、初めてのデイサービスには行けたのだろうか。
日曜日、見舞いに伺いますという私の連絡に応える形で入った施設長からの連絡はほっとする内容であった。
昨日、本日と問題なく通所へお出かけになっておられます。
昨日は「私は、毎日このような事が続くのですか?」とおっしゃっていましたが、今朝は、不安な感じもなく楽しそうに出掛けてゆかれました。
一日、おしゃべりをされて楽しそうだったそうです。ただ、時折シルバーカーの存在を忘れてしまうようなところが見受けられるとのことでした。
他、特に大きな問題もなくお過ごしです。
母がデイサービスに通っているとのお話、久々にうれしいニュースです。
色々お気遣いを頂いてのことかと想像いたしますが、とても感謝しております。
施設長へ感謝の意を伝えた後、妹に施設入所までの経緯を報告した。
入所に至るまでの経過報告をしておきます。
■入所前日にA施設で契約。(今回求められる保証人は一名で、他受けるサービス全ての契約書類上に貴方の名前はありません。)
到着した衣類・タオル類を母の部屋に運び込み整理。
■入所当日
作成されたケアプランについてのサービス担当者会議に出席。本人の出席も原則必要だが、出席しても集中がつづかない+あらぬ誤解受ける可能性から、途中挨拶交わす程度に留めて欲しいと私からお願いした。
(居宅サービス計画書を添付したのは、母がどうこうというよりは、介護の現場ではこういうものがある、という参考にして欲しいから。何十年か経てば誰もが程度の差はあれ何らかの介護サービスを受けるのでしょうから。)
■他
- 歯のぐらつきで往診診療受け、抜歯勧められるも母が強く拒否。かなりぐらついており、睡眠中に何かあったらと関係者は心配も、痛みもなく当人に抜く気無し。これに関連し食事もおかゆ状の主食(ご飯)、一口大の副食(魚、野菜)等で対応している現状をA施設、デイ先でも維持すること打ち合わせ済み。
- 足患部の皮膚感染症部分の治療については 抗生物質服用、患部の軟膏・ガーゼの日々交換を継続。A施設、デイ先で、ガーゼ取り替え等含め面倒をみることで打ち合わせ済み。
- 退院手続きはすぐに終了。当然ながら病院といった雰囲気は全くなく、環境の変化が飲み込めていない。
更に他入居者が全てデイにお出かけで、がらんとした施設の中、昼食はさみ数時間母と相対することとなる。
同じ事を聞かれ同じ事を答えるだけなら、いつものことなので苦にならないが・・・
もう家に帰っても大丈夫ではないか、いつ帰れるのか今日か明日か?といった質問が延々と続く。日が暮れ始め、デイから一人二人と帰り始めたのを見、
では私は帰るよと伝えると、
私は何処へ帰るんだ
母さんはここでゆっくり休むんだよ
おまえもここに泊まったらいい
俺は帰るよ
じゃあ私はいつ帰るんだ
(と暗雲たちこめ始めたのを見て取った施設長が割って入り)
息子さんは帰るんですって、また日曜日に来るってよ
(と母に耳打ち)
話をそらさないで!私は一緒じゃないのか!
俺と新幹線で帰るわけにはいかないでしょう?母さんはここでゆっくる休むんだよ。
もう騙されないぞ!
何をどう騙したのかな?とにかくバスが出てしまうから帰ります。また見舞いに来ます。
(横で所長さんが)
また日曜日に来るんですって。いい息子さんですねぇ。それじゃぁ、玄関までお見送りしましょう。
となんとか母を誘導してくれた。
こんな状態で果たしてこれから毎日デイに行くことができるのか?そしてその先は?
「お母様は現在落ち着いています。」とその晩施設長から連絡こそあったが・・・。
おかげで私はこの二日間寝付きがよくない。
この2〜3週間(といってもほぼ週一ですが)の様子を見るに、認知症の症状になんらかの進行がある様にも(個人的には)思います。
症状が進行しても、人(ほかの入所者)に迷惑がかからなぬ限りは、「ある程度まで認知症が進行した人でも受け入れている」方針のA施設なら受け入れてくれるものと最初から踏んで現在に至っているわけですが、迷惑がかかる、例えば、泣き叫ぶ、怒鳴る、といった方面へ症状が進行してしまった場合は退所を促される可能性もあります。
性格的に悪い方の場合を念頭におく性分なので、その辺を割り引いてもらって結構ですが・・・
各病院内に”ひっそりと”掲示されている連携先病院名を最近は注意深くみる癖がついてしまいましたが、K病院のその中に精神科病棟もつ病院の名がありました。
果たして実際に過去そのようなことがあったのか調べる術はありませんが、そういう”ルート”が想定上であれ設けられている、というのが その掲示板を見たときの私の理解です。
ある日突然、何かを切っ掛けに、人格が変わってしまったら・・・
恐ろしきかな、認知症・・・
MCIの段階で物忘れ外来を受診し(それでも100%の保証はありませんが)適切な治療ができていたら、進行を遅らせることができた「かもしれない」のに・・・と今でも思います。
時間の巻き戻しはできませんし、巻き戻せても何も変わらないのでしょう。
貴方やその周辺の方々には、その様な道を間違っても辿ることなきよう願ってやみません。