母が実家に戻ることはもう無いのかもしれない・・・
母が2度目の骨折をした時、そう覚悟した。
そこに至るまでの母の精神(BPSD)の有り様をふり返れば、それは当然のことのように思えた。
そして否応なく浮かび上がってきたのが「実家をどうするのか」?
「空き家管理」という問題。
人の済まなくなった家、空き家は急速に劣化する・・・世の空き家問題がメディアで報じられるたび、決まり文句のように口にされることでもある。
ガスも電気も水道も、使わなければ管の劣化含め、様々な弊害が想定される。
定期的に窓を開け通気をしなければ屋内に空気がこもり、あちらこちらにカビが生えてくる可能性が高まる。
通水のない状態が続けば、下水道管をつたって様々なものが屋内に侵入してくる。
庭の手入れを怠れば、雑草生え放題、伸びた庭木の枝が近隣に迷惑をかけることになる。
人気のない空き家の庭は、ポイ捨てのゴミ箱と化し、投げ入れられた吸い殻から火災発生となることもある。
そして長期間人がいないと見るや、有象無象の輩が侵入を試みる。
日本全国の空き家の数は、右肩上がりで増加している。空き家は物件そのものが犯罪に利用されることもあれば、その周囲に被害をもたらすこともある。“どうせ誰も見ていないから何をやっても平気だろう”などと舐められることがないよう、今後の防犯対策を考える。
実家が遠方にある場合、空き家管理・防犯でまず頭に浮かぶのは、専門業者への委託だ。
御多分に洩れず、私もいくつかの業者を思い浮かべた。
業者にも色々ある。当然ピンキリあるのだろう。どれがキリなのかはともかく、ピンが何処なのかは誰にも想像がつく。
防犯・セキュリティで「ピン」に位置するのはセコム、アルソックを始めとする広域展開をしているセキュリティー会社だろう。
その主たる個人向けサービスは、屋内外にセキュリティー機器を設置し、侵入者を検知次第、警備員が駆けつける。更に、必要なら、郵便物、換気等の定期サービスもオプションで付けられますよ、といったものだ。
全国展開で、人員を配置している企業は少なく、業務用のみならず個人の需要に対応している中ではセコム、アルソックが群を抜いているように見える。
単に見回り警戒します、というサービスなら地元の不動産屋などがそれを行なっている場合もある。
一口で町の不動産屋というと(私の偏見かもしれないが)胡散臭い印象を拭えないが、勝手知ったる既知の業者があるのなら、使い勝手は良いのかもしれない。
そして、いつの日か、実家/空き家の売却となった場合にも協力を得られるかもしれない。(とは言え、先述のように偏見を持っている私には空論に過ぎないことですが・・・)
個人的にこれはちょっと・・・と思えたのは、各地の加盟不動産業者が、見回り及び付随するサービスを行なっているグループ。
この手の業者では契約をすると立て札を目印に設置するという。きちんと管理されていますよ、という目印が防犯に寄与するというのだが・・・
「ここは空き家です。誰もいません。」という”誘い水”になってしまうのではと逆に不安を覚えてしまう。
同様に、個人で門、玄関にこのようなステッカーを貼る事の効果も疑問だ。
これを見て、カメラ作動中?じゃぁやめとくか・・・と侵入者が諦めるとはとても思えない。
この手のステッカーで効果があるのはセコム、ALSOKの類のみ。何よりも「駆けつけ」がある、というのが侵入を企てる者には確かな一つのリスクと思われるので。
それでも、不法侵入を試みる今時の輩にどの程度の効力があるかは疑問だ。
自身で防犯カメラを設置する事もできるが、カメラを設置しただけでは防犯、”事前”にそれを防ぐ効力、はほとんどなく、侵入されてしまった時の様子が録画され、捜査の幾ばくかの助けになる、つまり「事が起きた後」での役割しか期待できないのだと思う。
ベストはセコム、ALSOKのように、オンラインのカメラ+駆けつけ なのだろう。駆けつけあってこその防犯で、カメラだけでは侵入自体を防ぐことはできない気がする。
セコム、ALSOKは契約期間の縛りが大きなネックで、私は自身でカメラを設置した。
いつまでお世話になるのかもわからぬまま、途中解約時の違約金発生を覚悟してまで年単位で契約する、という一歩をどうしても踏み出せなかった。
ALSOK等の業者ではオプションで通水、換気、見回り、郵便物管理・転送などのサービスも付加できる。
但し、頻繁に行ってくれるわけではなく、月に一度。
特に入院・入所などした年には様々な書類・お知らせが自治体などから送られてくる。
月一の回収ではポストがあふれてしまう。郵便物の中身は個人情報満載の書類が多い、そしてあふれる程の郵便物がポストにあれば、いかにも空き家だということをアピールすることにもなってしまう。
一方、母の精神状態を思えば相当の期間これからも毎週のように見舞いに通うことになる・・・
何のことはない、セキュリティ会社に委託をしたところで郷里との間をこまめに行き帰りする頻度に変わりはないのだ。
それなら、時間的・肉体的に制約がかかるとはいえ、見舞いの度に実家に立ち寄り、自ら家屋の管理、郵便物の回収を行った方が・・・となった。
とはいえ、「駆けつけ」サービスを諦めるということは、「防犯」等いう点ではその分リスクが膨らむことを覚悟しなければならない。
このリスクを最小限?にする手だては一つ・・・
実家に貴重品を置かない事、と私は判断した。
母が骨折で入院後すぐに 権利書、証書、通帳、現金・・・あらゆる貴重品の類を実家から引き上げた。
年老いた親が実家の何処に貴重品の類を保管しているか、それを「いざというとき」が来る前に把握しておく、のがとても大切だと思う。
今思えば幸運にも、ということになるが・・・権利書、証書、通帳、現金の類いがそれぞれ何処にあるのかを偶然にも知っていたので、それらを引き上げるにさしたる手間はかからなかった。
とは言え、母の保険証の類、印鑑登録証等々では、後日役所での手続きを行うに手間がかかったり、マイナンバーカードのパスワードを知らないために郷里との間を往復する羽目になったり、そんなことも経験した。
親が元気なうちに、そういった「基本的」なところを見聞きしておく事が肝心、と遅ればせながら気がついた。
実家、空き家問題・・・②へつづく