もしもし?真坂さんですか?S病院です。
転院先についてですが、K病院から確認の連絡がありました。つきましては、急なお話になりますが、来週のX日に転院頂けないかと問い合わせを受けております・・・
そうですか!・・・えぇ~と・・・X日ですね
はい、それが朝10時半までにK病院に到着するように、と。
10時半K病院到着となりますと、10時頃にはS病院を出発するべく準備・・・それには、遅くとも9時半頃にはS病院に来院頂くことになりますが・・・遠方なので難しいですよね?
予想外に速い動きになりましたね・・・かといって、いや無理です、という返事もするわけにもいきませんしね・・・
・・・。
真坂様の場合、お住まいが遠方なので申し訳ないと思うのですが・・・。私の方でもう少し時間を繰り下げられないかK病院にあたってみましょうか?
基本的には、ご指示に沿うように対処します、ということになりますが・・・そうして頂ければ助かります。
(いずれにしても、現地泊が前提になるかな・・・)
わかりました。K病院に問い合わせてまた折り返します。
(数十分後)
真坂さんですか?S病院です。
予定時間についてですが、当日は担当医との面談もあるので遅くとも11時にはK病院に到着して欲しいということでした。そうなりますと、10時までにS病院においで頂き、10時半頃出発となります。大丈夫でしょうか・・・?
はい、色々有り難うございます。それでは、X日朝10時までに私がお伺いして、という形にさせて頂きます。
申し訳ありません。S病院からK病院まではお車でいらっしゃいますか?もし必要でしたら、介護タクシーを予約しておくことができますが如何いたしますか?料金的には少々お高くなり数千円~1万円ほどかかるかもしれません。
介護タクシーを予約して頂けると助かります。そうしましたら、当日は、母を車椅子に乗せ、10時半までにS病院の玄関で待機していればよろしいのですね?
介護タクシーのドライバーが病室まで迎えにまいりますので、その必要はありません。それでは、X日朝10時半に介護タクシー利用で予約を入れておきます。
わかりました。
動き出したら一気に・・・世の中万事そういうものだと思っている。慌てたところで仕方が無い。
粛々とX日前日の帰省の段取り、そしてほぼ常宿になりつつある”最寄り駅側のホテル”に予約を入れた。
X日まで1週間もなく、あっという間に”その日”が到来すると思っていた。
そう、何事もなく・・・。
が、そうはいかなかった。
あさってには転院というその日に、喉が痛くなった。まずい、と思い常備薬を飲んだが改善の兆しもなし。”私風邪引いてます”の状態で胸張ってS病院へ行く、というのも大変気が引ける。
明日はいよいよ転院日となった前日、朝一番で医者へ駆け込んだ。何はともあれ薬だ。なんとかそれで向こう二日間もたせるしかない。
「う~ん、確かに喉が赤くなっていますね。インフルではないようなので、とりあえずはお薬出しておきましょう。」という見立てに少々安堵する。インフル感染という最悪の事態ではないようだ。
その日新幹線~在来線を乗り継ぎ例の”最寄り駅”についた頃、あたりは暗くなりかけていた、なんでこういう日になるかと思う程恨めしい冷たい雨が降っている。
速効ホテルにチェックインし、部屋へ入るなりエアコンON、設定温度一番上=30度に。そして、加湿空気清浄機ON。
当然シャワーなど浴びる気もなく、早々とベッドに潜り込んだ。熱はなかった。ただただ寝た。
翌朝目が覚め自らの体調を確かめる。うん、喉の痛みは大分癒えている。今日はこのままいけそうだ。
6時半からという朝食をとりに下の階にあるレストランへ。窓際の席に座り外を眺める。昨日とは打って変わった青空、朝日が路面の水たまりに反射してまぶしいくらいだ。
予報によれば今日は「春のような日よりになる」という。入れた予定が転院では、うれしいとまではいかないが、それでも雨の中荷物を抱え車椅子に載せた母とK病院に行くことを考えれば何倍も有り難い。おまけに今日は大安吉日・・・うれしくはないけれど。