それ 認知症かも

認知力の衰えを頑なに否定する年老いた母。それを反面教師に自らのこれからを考える息子。

”脳を最適化する ブレインフィットネス” - 資産としての脳管理

リタイア後の資金のために数十年間投資しても、そのリタイア後の人生を楽しむためになりよりも大切な脳の健康と認知力に投資せずにいたら、すべての努力が水泡に帰してしまうこともある。心臓、目、肺の機能性の低下をみんな嫌がるが、なぜ、脳という最も価値ある資産の機能低下はそのままにしているのだろうか?脳を健康にするプログラムは早い段階から、どんなに遅くても60歳以前に始めるべき。

《脳を最適化する ブレインフィットネス完全ガイド》・・・正直、私はこの手の本が好きなのかもしれない。最近似たような本をよく読んでいる気がする。

母が認知症と思われるから?私はそうなりたくないと思うから?・・・はっきりとした自覚はない。

でも、この本の冒頭で主張している↑ことはうなずける。がんが怖いからと、競うように内視鏡検査はするのに、何故認知症と聞くと「それは高齢者の話」とまるで人ごとのように気にもとめないのか。

私たちは、著者の指摘する「脳を刺激するポイント、それは、目新しさ(慣れ親しんだ思考パターンから離れる)、チャレンジ、バラエティの豊かさ」を念頭に、何度でも自らの生活を見直す必要があると思う。

 

身体エクササイズ

✔ 脳に何かチャレンジを課すことが大切で、定期的な運動は絶対と言っていいほど大切

✔ 有酸素エクササイズには特に、前頭葉が受け持つ実行機能を向上させる可能性。単純に歩き回ること以上の強度が求められ、心拍数や呼吸回数が上がるくらいが効果的。
身体エクササイズを行うと、通常流れている以上のグルコース+酸素を脳に届けることができ、神経細胞に変化を起こす。脳の容量、血液供給量、成長ホルモン分泌量が増加、学習機能はじめとする脳機能が改善する。最低30~60分、それを週3回行う有酸素エクササイズを習慣化することがベスト。

✔ 社会的に交流しながら、身体的刺激と知的刺激を融合させる方法が最良(例:ある本について友人と議論しながらウォーキング)。身体エクササイズと認知エクササイズは相乗的に作用する。身体エクササイズをやりながら認知力をトレーニングすると、より効果的。



認知エクササイズ

✔ 新規性、多様性、チャレンジ性に富んだ方法で、認知的な許容範囲を煩雑に延ばしたり広げたりすること。読書(本、新聞)、文章を書く(手紙、Eメール)、モノポリーやトランプゲーム、クロスワード等のパズル、組織化されたグループでの議論への参加。但し、ルーチン化している活動は脳への認知的なチャレンジにはならない。

✔ 楽器を練習することには、脳神経的予備力を増やし、神経を保護する働きがある。母国語以外のいくつかの言語を話すことも良い

✔ レジャー活動を煩雑に行っている群は、アルツハイマー病になるリスクが38%低下。
レジャーの中で脳機能低下に結びついた唯一の活動は、テレビを観ること。

 

ストレス管理

✔ 慢性的で継続的なストレスはニューロンを殺し、記憶機能に有害。(対照的に有酸素エクササイズは、神経細胞新生と神経細胞間の結合を促す。)抑鬱は認知力低下リスクを上昇させ、アルツハイマー病に発展するリスクを上昇させる。

✔ ストレスを減らす方法を加え、質の良い睡眠を十分とることが大切。瞑想は感情のコントロールや注意力の焦点化を訓練する。8週間行うMBSRプログラムは、学習、記憶、感情調整にかかわる脳領域の容量を増加させるトレーニングになる。
・感謝日記を3週間続ける。感謝を通じて生きることや人生に対する楽観的な展望を持つことは訓練によって得ることができる。
・ストレスに働きかけるクロス・トレーニングの一つに瞑想がある。

 

 

栄養素

✔ 食習慣は、認知力に長期にわたる影響を与える。低脂肪、低塩化ナトリウムの食品を選ぶ。

✔ 地中海食、オメガ3とオメガ6、DHA

✔ 野菜、特に緑葉野菜をたくさん、フルーツはそれより少な目

✔ サプリメントのかたちで抗酸化物質を摂っても認知力への影響は疑問。イチョウ葉エキスにアルツハイマー病になるリスクを低下させる働きはない。

  

可塑性

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  • 健康的な脳とは、適切な可塑性を持った脳=最適化された可塑性
  • 有益な形で可塑性を促すには、脳に何かチャレンジを課すことが大切
  • 定期的な運動は絶対と言っていいほど大切
  • 社会的つながりも重要
  • 化学物質も脳に劇的な影響を及ぼす
  • 心臓に良いことは脳にも良い
  • 低脂肪、低塩化ナトリウムの食品を選ぶ食習慣の大切さ
  • 運動を良くする人ほど大きな海馬を持っていて、海馬の容量が大きい人ほど空間記憶力に優れている
  • 生物学的な脳の変化(神経成長因子の濃度や脳の容量の増加)が身体エクササイズによって誘発され、場合によっては、測定できるほどの認知機能向上につながるという事が言える
  • 身体的に活動的だとアルツハイマー病になるリスクが減り、活動的であればあるほどリスクが低下する。
  • 身体活動と身体エクササイズは異なるもの

kotobank.jp

表現が少々堅苦しく、”目から鱗”的なことが書いてあるわけでもありません。それでも、この手の様々な書籍から「共通項」を見つけようとしている私には有益な本でした。