それ 認知症かも

認知力の衰えを頑なに否定する年老いた母。それを反面教師に自らのこれからを考える息子。

「アルツハイマー病は治せる、予防できる」・・・のか、という本(その②)

だいぶ間が空きました。前回に引き続き、2016年に刊行された「アルツハイマー病は治せる、予防できる」についてですが・・・

www.masakahontoni.com

 その内容に触れる前に、直近で起きた事があります。

 

2016年刊行のこの本には、日本の理化学研究所 神経老化制御研究チームが何を目指しているのかが記されているわけですが、その内容と若干”擦る”部分あり、取り上げておこうと思った次第です。


11/7にエーザイがニュースリリースを公開しました。

アルツハイマー病におけるアデュカヌマブに関する FDA 諮問委員会について

手短に言えばこちらのニュース記事のようになります。

jp.reuters.com

エーザイのリリースには
「FDA 諮問委員会の提言は、~拘束力はありません。〜FDA は、2021 年 3 月 7 日までにアデュカヌマブの生物製剤ライセンス申請(BLA)を承認するかどうかを決定するレビュープロセスを継続します。」とあり、まだ最終結果では無い、としています。

が、週明けエーザイ、そして米バイオジェンの株価が注目を集めることになるかもしれません・・・

 

ここまでの”アデュカヌマブ”に関わる推移を簡単に辿ってみると、

この夏の8/7、エーザイが一つのニュースリリースを出し話題となりました。

www.eisai.co.jp

www.nikkei.com

 

企業のプレスリリースという性格上、不安定要素などが盛り込まれる可能性は極めて低い。最も大切なのは「承認されるかどうか」はまだわからない、ということ。

その後、9月末に米FDA諮問委員会が11月6日の会合で承認申請を審査すると決め、その審査結果がどうであったか、それが冒頭のプレスリリースで報告された、というわけです。

 

なお、アデュカヌマブには過去、紆余曲折(↓)があったこと、リンクを添付しておきますので、興味のある方はご覧下さい。

answers.ten-navi.com

www.nikkei.com

dot.asahi.com

更に話がそれますが・・・

この数ヶ月間 コロナ禍の中、数多のメディアがこぞって取り上げてきた あんな薬、こんなワクチン。

狼煙を上げるのは自由、でも肝心要は「認可承認されるか否か」にあります。

大抵の新薬・新ワクチンは開発途上で頓挫、認可どころか最終試験までたどりつかない、というのが創薬の「あるある」。

マスメディアにおかれては、騒ぎ立てるのはせめてフェーズ3(第3相試験)に到達してからにしてもらいたい、と内心思います・・・。

 

 

誰もが待ち焦がれる新型コロナの治療薬・ワクチン故、関わるニュースをふるいにかけずまずは迅速に伝えるのがメディアの使命だ、と言うのなら、それには頷けなくもありません・・・。

ヨードのうがい薬がもしかして、と、危機快晴のスクープであるかの如く臆面もなく報じた一部メディアの立ち振る舞いと(ここであの件を参照するにはあまりにそぐわないのですが・・・)似た様なものをコロナのワクチン、創薬についての伝え様に感じてしまいます。

バランスを取る、検証する、せめて数件裏をとるぐらい・・・、という”姿勢”があってこそのものと思いますが、このコロナ禍でのメディアの立ち振る舞いを目・耳にするたび、どうやら、やはり、脊髄反射機関的な存在でしかないという思いが、込み上げてきます。それならTwitter(=つぶやき)で十分・・・。

煽って目立ってこその視聴率、というのなら人々、少なくとも情報取得を目的とする人々、のTV離れはさらに加速度的に進んでいく、というよりは、どうやらそんなことはとうの昔に承知の上で、それならば、ということでの「煽って目立ってこその視聴率」という確信犯、それがメディアの正体なのかもしれません・・・

 

擦っている、とは言え、理化学研究所が歩む道自体と、エーザイxバイオジェンの「アデュカヌマブ」に関わる道程とは異なるもの故、理化学研究所には是非某かの結果が生まれて欲しいと期待します。

 

(今回も書籍の内容について触れることできませんでした・・・が、次回こそ、と思っております・・・なお今更になりますが、ヨードうがい薬について日本甲状腺学会の見解はこちら