この本は、理化学研究所 神経老化制御研究チームの方によるもので、2016年刊行。故に、いくつかのデータについては2016年刊行当時のもの、ということになる。
およそ認知症に関わる多くの書籍が触れている認知症の将来推計。
2025年に700万人・・・あれだ。
5年なんてあっという間。推計では5人に1人が認知症となる事態が目前に迫っている。
つれて必要となる介護費用も当然増加するのが必然。果たして需要に見合う資金供給が予算上かなうのか、既に危惧されている。
現在高齢者に行われているものと同様の社会的援助が維持できるのか? 答えはNoだと思う。
状況に見合う予算を増額する、即ち増税するのか、より薄い手当に変えるのか、その両方なのか、推測は色々ある。
新たなオレンジプランで物事が解決するとはとても思えず、結局のところ当事者(=高齢者)、そして関わる業者(介護サービス業者)が”否応なく”「時の状況に応じた」対応をせざるを得ない、ことになるかもしれない。
認知症患者に投与されている薬はいくつかある。アリセプト、メマリー・・・、そのどれもが「症状の進行の抑制」を期待する薬、根本的な「治療薬」ではない。
本書は、待たれる「認知症治療薬」の研究・開発のこれまでと現状(本書発刊は2016年)、そして今後の見通しについて記されたもの。
本書の冒頭にもありますが「患者の生活方法or周囲の人のサポート方法が書かれている」わけではありません。
そもそも、なぜこれほど認知症が増えたのか?
筆者は言う、その最大要因は平均寿命が延びたことにあると。
確かに、寿命が延びるにつれ、白内障、骨粗鬆症、変形性膝関節症、肺炎、心臓病、糖尿病等 認知症以外の疾病も増加している、というのも事実。
私がこの本を手に取ったのは数ヶ月前。
よい本だと感じ読書メモを残しておきましたが、中身をお伝えするには難しさもありブログに載せるのを躊躇っていました・・・
ここで少々、大幅に横道にそれますが・・・
今話題になっているこの事件、
ロシアの野党勢力指導者が機内で体調悪化、緊急入院した現地病院からドイツへ移送。毒物をもられた可能性が取り沙汰されている、という。
そして、流れてきたこんな最新情報・・・
独の病院での検査で、「コリンエステラーゼ阻害薬に分類される物質による中毒症状」が確認された、という。
・・・ああそういえば、と。
アルツハイマー病の進行を遅らせる対症療法・その進行を抑える薬剤例として あげられていた・・・
一つは、
NMDA受容体拮抗薬
・メマンチン(商品名;メマリー)
中等度~高度のアルツハイマー病に対応。
めまい・頭痛の副作用あるが、ドネペジルなどと併用可。
そしてもう一つは、
コリンエステラーゼ阻害薬
・ドネペジル(商品名アリセプト)
副作用が少ない、作用時間が長い(1回/1日 投与)。
進行を1年程度遅らせることができ、その後も進行を穏やかにする
軽度~高度 病状のどの段階でも使用 、長期間使用可能。
・ガランタミン(商品名レミニール)
抑制期間長いが消化器系副作用有り・2回/日
・リバスチグミン(商品名リバスタッチパッチ、イクセロンパッチ)
パッチ剤、共に軽度~中等度のアルツハイマー病
神経伝達物質アセチルコリンの働きを強める作用
なお、突拍子もない引用で、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンが毒薬だと誤解されてしまうのは全く本意ではありません。
単に、記憶の片隅にあった「コリンエステラーゼ阻害薬」というワードでこの本を思い出した、ということです。
この「アルツハイマー病は治せる、予防できる」の内容についてはまた次の機会に。