夢を見た。
いつも朝までぐっすりなのに珍しい
なぜかアーノルド・シュワルツェネッガーのトータル・リコールとおぼしき場面が霧の向こうに見える
あたりに誰もいない中 自問自答している。
相手を確かにその人だと、何をもって人間は判断するのだろう
匂い?
そんな嗅覚は人間には備わっていない
顔?外見?
妻が夫が突然顔かたちだけ変わってしまったらどうだろう?
外見が変わったら、もうそれを妻、夫とは認めないのだろうか?
では性格?内面?
妻や夫の性格・内面だけが突然変わってしまったらどうだろう?
外見が全く同じでも、内面が変わってしまったら、
もうそれを妻、夫とは認めないのだろうか?
いったい何を持って人間は相手を判別しているのだろう
あらすじも怪しいトータル・リコールの場面がなぜ向こうに浮かぶ?
あれは記憶操作のような話だったかな、違ったかな
記憶
記憶か?
過去の記憶に左右されてしまうのか?
熟睡できぬまま目が覚めた。
今回は、昨日のこの↓続きになります。
まずは、今回も著者の主張するところを冒頭に貼っておきます。
介護する人は、自分の大変さにとらわれて、介護される人の大変さを忘れてしまいがち。自分がいちばん大変だ、自分だけが大変だと思ってしまうと、介護を続けることが困難に、そしてその先は虐待や心中につながっている。介護には共感が必要。
言葉の持つ意味には注意が必要。さっき言ったでしょ、は質問に答える気はない、会話はこれで終わりだ、と相手を拒絶していることと同じ。
介護は美談ではない。優しいですね、偉いですね、等と介護する人に言っても本人はしらける。ギリギリの所で自分と折り合いをつけ何とかやっている。葛藤を知りもしないで美談にするな。人は、介護の悲惨な現実から目を背けるため、介護する人を誉め美談に仕立て、自分はいい気持ちになって去っていく。介護は光と陰の両面をあわせ持つ。
ケース6
服を着替えさせたり入浴させたりしようとすると暴れる
⇒記銘力低下で直前の声かけも覚えておらず、何をされるのかわからず怖い。行為自体の拒否ではない。
母の場合;不一致
そういう意味では、まだまだ自立出来ている状態なので。
介護者は、認知症の人が私/私たちを認識しているはず、声をかけたのをわかっているはず、と思いがち。一度言ったらわかっているはずと先へ進んでしまうと、当人の認知機能が追いつかない状態になる。
基本は安心させることで、1に受容<認知症の人が言ったことを否定しない>、2に補完<時間と空間の歪みを補う/簡潔で必要な情報を伝える>、3に明確化<時間と空間を明確化/習慣的挨拶・声かけで、朝・昼・晩を明確化>
ケース7
嘘の話をする、妄想を抱く、金銭に異常にこだわる
⇒ソース・メモリ(情報源に関する記憶)不確かさ+リアリティ・モニタリング能力(事実か想像なのか判断する認知能力)低下。「虚偽記憶」- 認知症に限らず記憶とは間違いやすいが、事実と違うと指摘する能力は加齢と共にどんどん低下。
母の場合;一部一致
嘘かどうか/真意はともかく、事実と違う話をする、妄想を抱く。それとおぼしき話は四六時中。妄想は夕暮れ症候群と思われる時間帯に集中している。金銭云々については目立った言動はない。
特に類似の話を何回となく繰り返し、こちらも何回となくそれに付き合おうともするが、時によりこちらが疲弊してしまう点が厄介。著者の説明はかなりの部分、私の母に該当している気がする。まさに、母が育まれてきた環境下で形成されたのであろうものが時として浮き出てくるのだ。その浮き出てくるものが、私の性格とは全く相容れないもの、なのだ・・・。
作話は意図せずついてしまうもので、本人には事実。認知症の人の言葉には人生が表れる。プライド高く自分が上と思っていたり、自分の居場所(社会的関係を持てる場所)を探し、誰々が待っている・誰々に呼ばれている等と言う。嘘を嘘だと言ってしまうと、益々混乱し、興奮を助長する。自慢話をする、というのは、本人が良い気分の時でもある。
ケース8
女性の体に触る、卑猥なことを言う
母の場合;不一致
女性と言うこともあり、言動含めそのようなことは全くない。
専門的訓練受けていない家族には、性欲の亢進が原因か、別の欲求不満が原因なのかの判断は困難。認知症の人は前頭葉障害で抑制きかず、逆に慌て騒いだりすると”その反応が報酬”となりエスカレートする可能性。本人は注目されるのが嬉しい。しばらく放置、静かな時に関わると次第に治る。
ケース9
夕方家に帰ると言い出て行く、昼夜逆転、不眠、夜間せん妄状態、作業のようなことをする、収集癖がある
⇒徘徊には、神経障害で意思と関係なく起こるものと、目的あってするものがある。「仮性作業(トイレットペーパー巻き取り、ティッシュ取り出し、コップで水すくってはあける)」は、同じ動作の繰り返しが快感になっている。
収集癖 - 本人は意味があり持ってきたが、持ってきた後にはその時のことがわからなくなっている。
母の場合;一部一致(?)
(?)としたのは、果たして母のそれが、夜間せん妄状態なのか断言出来ないので。幻覚を見ている様子はないが、夕刻~夜間に情緒不安定になる。興奮状態と言えるのかもしれない。著者説明にある”夜一人眠れずにいると、様々なことが頭に浮かび不安が掻き立てられる。”はまさにその通りに違いないと確信している。
帰る、と言うのは目的があるということ。記憶の逆進性、場所と時間の見当識障害が同時に起こった状態。ここにいたくないというサイン。不安減らし落ち着かせる為、会話に「繰り返し技法」を用いる。
認知症の人の言葉の中身に反応・応答してしまうとうまくいかない。本人の言葉を反復、共感だけを示すことで、気分が落ち着き安心する。繰り返しで徘徊・夜間せん妄が徐々に治ることがある。
仮性作業・収集癖は、危険・不潔でなければ見守る。途中で止めると欲求不満になり症状悪化、別症状が現れることもある。収集物は、大事なものだから預かっておきます、と言い持ち出す。
ケース10
家の中を徘徊、廊下で放尿、紙などを食べる
⇒オムツを脱ぐのは不快感から。放尿は失禁と違い攻撃性/自己防衛の現れ。異食は、匂い・味がわからず対処能力低下or快感によるストレス解消。
母の場合;不一致
当人が困っているから放尿する。困っていることが解消しない限り解決は難しく、家庭でのオムツ外しは容易ではない。
異物を食べる(異食);人は何もしないことがストレス。することがない時に食べてしまう。食べることは快感。危ないものは隠し、食べているのを見たら、こっちの方が美味しい、と交換。いきなり取り上げたりすると欲求不満募らせるだけ。
ケース11
大量に食べる、食べたばかりなのに食べさせてもらえないと訴える
⇒まだ食べていない、は被害妄想。もの盗られ妄想より重くなってから出る症状。記憶障害進み短期記憶相当低下。自分が被害者という立場は自己肯定で気分の良い状態。陶酔に近い快感で同じことを繰り返す。食欲中枢障害。
母の場合;不一致
ケース12
介護者を怒鳴る、殴りかかる、家内で迷う、人混みで立ちすくむ、一般名称が思い出せない
⇒怒鳴ったり殴りかかったりは、人の見当識障害が進んだ状態。独自のヒエラルキーに基づき態度を変える。社会的アイデンティティが強く残っている。プライドを傷つけられる。人混みで立ちすくむのは、選択的注意がうまく働かず不要な情報を抑制できない。
母の場合;不一致
なぜ感情的に反応してはいけないのか;自身のアイデンティティ・社会的立場を尊重する扱いには穏やかな対応となることも。肉親である自分、としての対応でなく、認知症の相手を賓客のように扱う。
この間まで自分のことを肉親と思っていた人が、そのことをわからなくなっている・・・それが理解できずに介護者は苦しむ。このような場合、一旦介護をプロに任せ距離を置き客観的に相手を見る時間を取ることが大切。暴言・暴力ひどい場合、医師が向精神薬処方する場合あるが、副作用あり活動性低下・寝たきりとなることあるため、他に方法あるならそれを試してからでも遅くない。
ケース13
感情激変、情景理解できず、音楽を嫌がる、鏡に向かって話しかける
⇒些細なことでの感情激変は、前頭葉機能障害で抑制きかず「感情失禁」。
音楽が嫌いになるのは、「失認」症状で対象が認知できない。鏡に向かって話しかけるのは、部屋の中に置かれた鏡、という全体性がわからない、自分の顔貌もわからない。「ゲシュタルトの崩壊」
母の場合;不一致
介護者が感情的になると、認知症の人の状態がよけい悪化してしまう。すぐに対処しようとせず親密な態度をとりつつ少し距離を取り相手を落ち着かせる。可能なら手を握ったり抱きしめたり。身体接触は快感を与えるため相手を落ち着かせる効果あり(人により嫌う場合も)。繰り返し技法で共感を示す。
ケース14
服を着られない、歯を磨けない、橋を使えない、皿を舐める
⇒当たり前のことができなくなる「失行」は認知と行動の間が断ち切られている状態。前頭葉機能障害で抑制働かず。
母の場合;不一致
見方を変えれば、まだ自分で食べることができる状態。乱暴に扱われたり、手を貸してもらっているとできることもできなくなってしまう。できることはやってもらう。こんなこともできないのか、ではなく、まだこんなことができる、と思うことが重要。
ケース15
オムツを外し便をいじる、奇声、ウトウト
⇒便を平気で弄ぶのは、脳障害で臭覚・味覚に障害。脳機能低下-覚醒水準低下でウトウト「傾眠状態」、もしくは夜間徘徊で睡眠不足。
母の場合;不一致
「傾眠状態」は寝たきりの人にもある。周囲が働きかけしないと、よけい反応がなくなる。使わない機能が衰えていく生活不活発病(廃用症候群)の一種。反応なくても、声かけ、手握りなど刺激を与えることが大事。
異食は危険なものを周囲に置かない、興味を他に向けさせる。弄便は排泄パターンつかみトイレに誘導、オムツ替えなど、頻繁に様子見。奇声は、介護者が大声を出すと逆効果。驚かず手を握るなどし側にいて落ち着かせる。異食・弄便は力ずくではやめさせられない。