1月31日朝、突然舞い込んだ妹からのメール。
先程母から電話あり、昨日から本当似が来てるが朝いなくなった。まだ帰ってこないが そちらに行ってないか？警察にも連絡したが、親身になってくれない。妹さんのところじゃないかと言うので電話した、と言っている。夜に限らずこの時間でももう妄想だとすると 警察騒ぎが増えそう・・・。このままだと行方不明騒ぎで本当に警察に通報してるなら、・・と心配になり、 取り急ぎ連絡です。
早速母に電話してみました。
「A子から電子メールが来て私がいないと言ってるらしいけど・・・」
「今どちらから？」
「何百キロも離れたXXの住まいからですよ、私はそちらへは行ってませんよ。母さん低血圧だから、朝 頭がポワーンとしてるんだよ。だいたい私がそちらへ行くときは前もって知らせてるでしょう？」
「・・・じゃあ、今はXXからかけてるの？おかしいなぁ。」
「おかしくないよ。私が嘘言うわけないでしょう。日記でもつけてれば、昨日私がそちらへ行ったかどうか それを読み返せばわかるのにねぇ。朝早いからまだポワーンとしてるんでしょう。昼間になればはっきりするんじゃないかな。」
「そう・・・じゃあXXなんだね。」
「そうだよ。大丈夫かな？」
「わかりました」
「あっ、それと、朝ポワーンとしてるときは足元もふらついてるかもしれないから骨折しないよう気をつけてよ！」
「わかりました。」
警察云々について私の方から取り上げることはしませんでした。それも妄想なのか含め真偽はわかりませんが、連絡したいたならそれで仕方がないかと(止めようがない、という意味で)。
本当にしていたとして、“（警察が）あまり親身になってくれない”と言っているのなら、警察も 母の話しぶりなどからすでに察するものがあったのだろうと想像します。
わかりました。以後「これで 本当似に繋がらなかったらA子に言えば 」となると困りますが・・・。以下直近一週間の状況です。
○1／26 （土）17：30 母→自分の携帯
・母: ずいぶんとお久しぶり。正月に帰ってきてくれなかったからどうしてるのかと思った。今日はもう仕事終わったのか？本当似と連絡してないの？本当似から連絡がないのだけれど。そういえば、A子はちゃんと結婚したの？昔◯◯さんの話をしてたけど。
○1/30（水）10:00 自分→母
前日夜8時過ぎ2回不在電話あったが、そのことは忘れている模様。昼間なのになんとなく挙動が変な感あり、時間制限のあるはずせない事情の人が訪ねてきたので脳活の集いには今週行けなかったが、いつもは行ってる。内容はくだらないが楽しい。今はボケてないけど今後の防止になると思って行ってる。通話記録用に渡された大判赤ノートは見つけようとしてないから無いが、あるはずなので大丈夫だ。と、意味不明なことを言っ ていた。
記録メモをその場で書いてもらう形をとったが、書き終わる時間が早すぎる感あり、怪しい。
○1／30 同日 22：00 母→自分の携帯
・お父さんそっちに行ってないか？お父さんが帰ってこないんだけど
・お父さんはだいぶ昔に死んだでしょ
・沈黙の後 ああそうだね そうか そうだった ボケちゃったのかな
・もう遅いから、戸締りちゃんとしてもう寝て下さい
○1/30 同日 22：35 母→自分の携帯
・A子ちゃんお久しぶり元気ですか
・こんな時間に10分間隔電話は辛いですよ
・ちょっと聞きたいんだけど そっちに お父さんと本当似が行ってませんか？
・まず お父さん については ゆっくり思い返してみてくださいね だいぶ昔に〜本当似さんもきてません
・本当に本当似はきてないか
・はい。こんな時間まで起きてるからそうなるのだから戸締りしてもう今すぐに寝てください
・そうか わかりました 悪いことしたね 本当に本当似はいってない？
・もう寝たほうがいいですよ
ガチャ切り終了
認知症の人は近いことから忘れていく、と言われています。まず、ごく直近のことを忘れるようになり、そして症状の進行とともに、徐々に昔に遡ってその範囲が広がっていく。
母の場合、直近のことを覚えていない、それはこれまですでに見られた症状ですが、昨今は その範囲がさらに遡って、自らの夫の死亡時、A子のご主人との結婚時、あたりまで広がっている、のかもしれません。
そうだと仮定してみると；
- 母: ずいぶんとお久しぶり→最近いつ帰省したか、いつ電話で会話したか、は直近のことなので記憶できていない
- 本当似から連絡がない→日曜日に電話したこと、は直近のことなので記憶できていない
- ちゃんと結婚したの？昔◯◯さんの話をしてたけど→◯◯さん、という相手の名前は覚えているが、その人と結婚したという事実は記憶していない。その辺りの時間軸前後まで記憶が失われている。
＜認知症「不可解な行動」には理由がある＞
という本の中に
『自己否定をしないのは人間の本能で、そのような場面には自己防衛本能が働き、自己肯定方向に認知を変える。失くしたのは自分、とは認め難いが、（例えば）盗まれたと考えれば、悪いのは盗んだ人で自分ではない、という自己肯定になる。』
という箇所があります。
これも想像ですが、
- 火曜日は時間制限のあるはずせない事情の人が訪ねてきたので脳活の集いに行けなかった→行かなかった、とは言いたくない。はずせない事情の人が来たから、行けなかった。行かなかったではなく、その人のせいで行けなかった。という自己肯定の可能性。
- 大判赤ノートは見つけようとしてないから無いが、あるはずなので大丈夫→見つけてもどうしても見つからない、と言うと自分が責められる。見つけることができないという自分の能力上の問題ではなく、そもそも見つけていないのだから見つからないだけだ、という自己肯定の可能性。（さらに想像を膨らませれば、そもそも大判赤ノートとはどういったものを指すのか、具体像が浮かび上がってこない、という可能性もあります。だとすれば、具体的にどのようなものが該当するのかわからないので、いくらさがしても永久に見つからない・・・。あるいは、あの時、大判の赤いノートをもらってこんなことを言われたなぁ、という記憶自体がすっぽり抜け落ちている。となると、突然大判赤ノートと言われても、なにそれいったい？といった状態。それを正直に打ち明けると、自らの能力上の問題を認めることになるので、ああの大判赤ノートね、知っているけど、見つけようとしてないから見つからない、どこかにあるでしょう、と自己肯定方向の弁明をした。さらに、私たちにはそれが姑息な言い訳のように聞こえても、認知症の人はそれを弁明と思っていない可能性がある、本気でそう思ってしまう、という特有の症状の可能性。）
- お父さんそっちに行ってないか、の話は見当がつきませんが、妄想の類なのでしょう。
それにしても時間が夕刻かなり遅いのが気になります。というのは、認知症の一症状に 昼夜逆転 というものがあると聞いたことがあるので。
認知症の人の「見当識障害」は時間→場所→人と進むと言われています。場所は、ここは私の家じゃない、と言い出したり、人は、家族の見分けがつかなくなる、といった症状らしい。
母は、時間についての障害があるのは間違いないように見受けられますが、時間の見当識障害でも、初期段階では今日の日付、曜日がわからない、から、自らの年齢がわからなくなったり、季節、昼夜がわからなくなったり、と進行する場合もあるようです。
これも、先に挙げた本の中に書かれていることですが、
『記銘力が低下し、言ったことを覚えていない。また、作動記憶低下でたくさんの情報を処理できない。一つのことが頭に浮かぶと、それだけを繰り返し思い出す。分割的注意が低下し、同時にあちこちに注意を向けられない。他人の様子に注意が向かず、会話の流れと関係なく言いたいことだけを言い、やりたいことだけをする。』
何度も同じ事を電話で言う。せっかく電話を娘からもらっても門を閉めなけりゃと頭に浮かんでしまうと、他のことには意識が向かない。話し相手がどんな様子か どう感ずるかにも注意が向かない。言いたいこと・やりたい事を行い、ガチャ切りする。・・・このあたりの行動が該当している気がします。
ただ、そちらからのメールを見て一つだけほっとした部分があります。
沈黙の後 ああそうだね そうか そうだったボケちゃったのかな→まだボケちゃったのかな、と自ら自分を俯瞰して判断するような台詞がでてくる状態ではあるのかもしれません。本当に完全にボケてしまった人なら自分がボケているなどという意識は全く持たないはずなので。
近いことから忘れてしまう、とはいっても、何度も何度も繰り返せば、記憶にとどめられる、まだ、そう言う能力はあるように思えます。今でこそ、そちらから電話した事を覚えていない状態でも、それを何度も繰り返しているうちに習慣として記憶にとどまっていく気がします（間が空くとわすれてしまうかもしれませんが）。
日曜日には私から母に電話する、というのもかなりの回数続けているせいもあってか、日曜日の午後一には私からの電話を待ち構えている風が感じられますので。習慣化されたものを記憶している、という能力はあるようです。
最後に一番大事な事を付け加えておきます。認知症の肉親を持った事で、うつ病となったり、精神的に病んでしまう人がたくさんいます（私も人ごとではありませんが）。ジョギング、ウォーキング、音楽、瞑想、あれこれ色々なものが勧められていますが、貴女なりに何らかの形でストレスを軽減する方法を見つけるようにして下さい。あくまでも自らの体調優先で。
なお、 2/10日曜日に帰省するつもりです。早朝実家着、当日夕刻までの滞在となります。母に伝えるのは今度の日曜日の電話連絡の際にでも、と考えています。特段の目的はありませんが、様子見と冷凍庫チェックなどで、あとは展開次第でしょうか。話す内容は、日曜日ごとに伝えている内容の繰り返しが中心になると思います。
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雲行きが怪しい・・・
