それでは真坂様、こちらへどうぞ。
ナースステーション側の長椅子で待つ私に”お呼び”がかかった。
主治医との面談の為、指定された時間直前にナースステーションに声をかけたが、急患のため暫くそこで待機するよう促されていた。
医師が戻ってきたらしい、20分程で「こちらへ」と看護師さんが席まで誘導してくれた。
程なくしてあの医師が席に着き、レントゲン写真指しながらぼそぼそと話し始める。
患部自体はこのような状態ですが・・・何分骨自体が脆いので・・・
金具で固定したとはいえ緩い部分があり、リハビリの方は注意して行っています。現在は平行棒を使っての段階まで進んでいます。
そうですか、もう歩行訓練まで進んでいるのですか。
そうですね。ただ、まだ痛がることは痛がるんですけどね。ある程度は仕方がありません。時間もかかると思います。
リハビリは、これからも慎重に行っていく必要がありますね。
暫くの間は車椅子生活で、リハビリの時だけ歩く・・・
ゆくゆくは歩行器とかうまく使えれば、歩けるような生活ができるようになるかもしれませんが、時間はかかると思います。
現時点での動き自体はまあまあですし、車椅子の時は自分で・・こう動かしながら廊下を移動したりしていますから、そういう意味では意欲的ですね。
(前回、S病院であったリハビリ拒否が、今回は無いのか・・・)
ただ、骨折していることをすぐ忘れてしまうので・・・なぜ痛いのかわからないこともあるようです。認知症という面もあるので やむを得ないですね。
施設のような見守りの目のあるところであれば問題ないと思いますので退院はもういつでもかまわない状態ですね。
車椅子生活ということになりますと、ベッドと車椅子の間での動き、特に老人ホームの個室での動きに大きなリスクがあるように思います。
こちらの病院では、ベッドでも、車椅子でも抑制ベルトをしているようなので知らぬ間に、というリスクは低いように思いますが、施設ではどうしたらよいのでしょうか?
施設に聞くことかもしれませんが、医師からこういうアドバイスが、といったお話を頂けると家族としても心強いのですが・・・
・・・
どれくらい目をかけられるかによるのだと思います。目をかけられない部分ではベルトを使うというのも一つの手段ではありますね。
目をかけられるのであれば、そういうときはベルトを外してもらう・・・。例えば、夜とか、そういったときはベルトをしてもらう・・・とか。
どうなんでしょう、ヒッププロテクターなるものがあるようですが、装着するというのも有効な手段でしょうか?
ヒッププロテクターね・・・
あれを使うと骨折のリスクが減るというデーターがあるんですが、うちでも昔導入したことがあるんです。ただ、患者さんが着けたがらない・・・
あれをオシメをつけている上から装着すると、この辺りがゴワゴワして・・・というのがあって結局止めてしまいました。
そうですか・・・
(どういうタイプのヒッププロテクターなのか・・・マジックテープで装着ならゴワゴワは無いような気もするが・・・)
最初に上腕、そして下腿部、今回の大腿部と、何やら骨折箇所がより深刻な部分に移行しているような気がしてなりません。
今回大腿骨転子部骨折と聞いたときはどうなることかと心配しました。
これでまた大腿骨、あるいは腰椎骨折というのはどうにかして避けたいのですが・・・
そうですね、でも皆さん似たような箇所を骨折されてますね。
・・・
こちらですと、車椅子に座っているときは抑制帯をつけているようですし、ベッドでは何と言うのでしょうか、拘束帯をつけているので・・・
あぁ安全ベルトね・・・
何気なくベッドからおりて転倒する、ということも起こりえない。看護師さんの目も時々にある・・・
それが、施設に戻り、介護士さんの目のあるところならともかく、個室に入ってしまうと個人での行動が増える、しかも自らが骨折したという意識が時々に無い、となると・・・
車椅子でベルトをつけたり等々は有効でしょうね・・・
まぁ、ベッド以外の場所では、基本的に車椅子、という方がより安全ではあります。ベルトをつけていればずり落ちることもないでしょう。
どうしても心配だということであればずっと車椅子生活と割り切ってしまう、というのもありますね。
ただ、抑制、拘束は程度によっては認知症の症状と言いますか、精神的悪影響が、というお話もたくさん聞きます。その辺りの按配というのでしょうか、それがとても気がかりです・・・
・・・・
(ご返事は頂けないか・・・)
それと退院についてですが、今回そういうお話があるだろうと思い予め検討してきまして・・・
来週x日ぐらいを考えているのですが・・・
あぁ、全く問題ないですね。
特にこの時間帯は避けて欲しい、といったことはありますか?
無いですね。よほど朝早くとか、夕方でも無い限りは大丈夫です。
わかりました。それでは来週x日お昼前に、という形で進めさせて頂きます。
はい、大丈夫です。
それにしても、母が前向きにリハビリをしていると聞き驚きました。うれしいお話を聞けて良かったです。リハビリ拒否でもあったらどうしようかと思っていました。
いや、それはないですね。介助があれば前向きにリハビリをするようです。
御陰様でずいぶん早く退院できることになりました。最初大腿骨転子部と聞いたときはどうなることかと・・・
あぁぁ、そうですね。
でも退院後に反対側の大腿骨を折ってしまう、という方も多いので十分気をつけて下さい。
はい、それをとても心配しています。
骨折した、という意識が本人にないので、個室での動きに本人が気をつけるということもないような気がしますし・・・そこが大変気がかりです。
う~ん、そうですね。そういうときはやはり安全ベルトなどを使うしかないですね。
そうですか・・・
施設の方でもリハビリの引き継ぎはN病院さんと連絡を取りながら行おうと、こちらの方と相談させていただいたようです。
はい、はい。
それともう一つ、骨が脆いということで、並行して月一の皮下注射で、というお話がありました。
はい、はい。
施設隣に同系列のK病院があり、下腿部骨折の術後の経過やら、それ以外の整形外科的なことはそちらでこれまで診て頂いているのですが、
・・・
月一の注射の方もそちらで引き継いで、というのは如何でしょうか?
(苦笑いをしつつ)ん〜・・・、可能でしたら・・・それはこちらでと思ってるんだよね。
・・・
その際にレントゲンも撮って患部の状態も見られるしね。
そうですか。その辺りは行き帰りの問題もありますので、色々相談してみます。
医師面談はあっという間に終わった。
なお、Amazonのヒッププロテクターの口コミにはこのような↓ものがあります。
小規模多機能ホームの利用者様に使っていただいています。
施設や、自宅での見守りや介助されている生活で転倒して一番困るのは大腿骨頸部骨折です。
手術適応にたいていなってしまうので術後に認知症が進行したり安静を保たないといけないのに車椅子から立ち上がったり少し歩いて転倒したりする危険があります。
治療のための安静が必要な病院と違って生活介護の介護保険事業所では身体拘束はまず考えられません。
転倒事故で仙骨部や尾骨の場合は手術入院適応がほとんどありません。腰椎圧迫骨折も大腿骨頸部骨折程の手術入院適応の頻度はありません。
実際転倒して効果があったという経験はありませんが数年前から老人保健施設で転倒骨折予防対策の一つとして使っている情報はありましたので見守りに多くの人員を割くことが大変になってきているのに利用者様の重症度は上がっている昨今該当の方々に進めていこうと思っています。