偶々立ち寄った図書館、月刊誌・週刊誌の棚に並べてある冊子の表紙を眺めると、この文字が目に飛び込んできた。
「認知症とつき合う」
TV番組然り、月刊誌・週刊誌の類いもこの手の話題が多くなった気がする。あまり期待もせずその冊子を携え、席について中身に目を通す。
これが結構さらりとまとまっていて読みやすかったので、所々を書き写した。認知症の主な非薬物療法等々についてまとめられている。
運動療法
非薬物療法の中で、唯一、認知症の発症予防に関するエビデンス有、特に有酸素運動には有効性。進行抑制にも効果有との報告も。様々な手法が存在、世界中で研究が進む。
回想法
楽しかった思い出等話してもらい、当時の記憶を思い起こすことが気分の安定に役立つという。認知機能に効果有との報告も。患者がたどった人生把握し、ケアプラン作成につなげようと模索する施設も。
8月末、米国食品医薬品局(FDA)が、米ディーセラの手掛ける、アルツハイマー病の回想療法に用いる装置を「ブレークスルーデバイス」指定。当局が装置を有用と認めたことを意味し、今後、効果確認に優遇措置が取られる。
音楽療法
有効と判断できる結果は未、メタアナリシスの結果、認知機能面で効果がみられたとの研究報告も。好きな音楽を聴く、リズム楽器の演奏、カラオケ、合唱など多岐にわたる。
認知刺激療法
ゲーム等で脳内の情報処理を刺激。「脳トレ」も含。米ポジット・サイエンスの脳トレプログラム「ブレインHQ」は、国内ではネスレ日本が展開。ただ、同業者が虚偽広告で訴訟を定義されるなど課題も。
実は「ブレインHQ」含め他いくつかの「ブレインフィットネス/脳トレーニング/ブレインゲーム」(=ルモシティ、コグメド、エムウェイブ他)については、「脳を最適化する ブレインフィットネス完全ガイド」でもその結果、効果について比較が行われていました。書籍「脳を最適化する」については、またの機会に思うところなど書いてみたいと思います。
なお、ネスレ日本における「ブレインHQ」の”展開”はネスレウェルネスアンバサダーであることが前提となり、ウェルネス抹茶1箱以上定期購入が課せられたりと、何で?的な"展開"自体が、それが有料だから、というよりも大きく気になるところ。iPhone用アプリも用意されてはいるが、アンバサダー登録が前提であることは変わらない。
芸術療法
絵を描く、オブジェを作るなど、創作活動を行うことは社会交流の機会増加や抑鬱感の改善、ストレス解消などに効果があるとされている。自発的な行動、感動的な気持ちを自身にもたらすことは、他者との意志疎通にも寄与するという。
血液・網膜で発症リスクを超早期発見
アルツハイマー病発症のかなり前(最新研究で35年前)にアミロイドβが脳に蓄積し始める。そのアミロイドβの質量分析システムを開発。「健康高齢者」「MCI」「アルツハイマー病患者」対象→脳内アミロイド蓄積の90%という高検出率。島津製作所が8月に血液検査受託開始。アミロイドβが溜まり始める段階をとらえられるので、発症前の予防薬開発が可能に。あくまでも創薬向け。
認知症を発症する前段階のMCIで予防すれば、5割近くが正常に戻り、8割以上は悪化しないと言う研究有。愛知県大府市・長寿医療研究センターの研究では、運動教室に参加するなど予防に努めた結果、46%が正常に回復。認知症発症ケースは14%。つまり、認知症にならないためには、MCIの段階で発見することが重要。そこで登場したのがMCBIの「MCIスクリーニング検査」。費用は1回2~3万円とPET検査よりも桁一つ小。MCBIは03年設立の大学発ベンチャーで17年に島津製作所と資本・業務提携。同検査は筑波大学研究チームが開発。現在、全国1300程度の医療機関で検査可能。7㎖の血液採取。アミロイドβ排出すると血液中に増える三つのタンパク質を計測。4段階に分類し、検査結果に応じ専門医による検査・診断を勧めている。「精度は80%を少し切る程度」
MCIの前段階をとらえようとする開発も進行中。アドバンスドレーザーテクノロジー(ALT)では、赤外線を網膜に当て4㎜の断面を撮影。網膜の中の神経細胞に付着したアミロイドβを計測するための機器開発を進めている。
早期発見技術は日進月歩。「健康診断に組み込まれる日」が来るのもそう遠くないかも。
そしてこんな↓ランキングも。
認知症に優しい都市ランキング
認知症カフェ、認知症サポーターといった普及度合いが、自治体により大きく違う、というわけ。あくまでもそういう観点からではあるが、色々充実しているのかも、という期待値にはつながる。
1位から73位まで掲載されているが、因みに、1位石川県金沢市、2位群馬県高崎市、3位埼玉県川越市、となっている。
掲載されているのは、週刊東洋経済10.13号。先週の号ですが、未だ置いてある書店も多いと思う。