母の入所している施設から毎月送られてくるものにリハビリ計画書がある。
一読しコピーを手元のファイルに保管、別にサインしたものを返送する。それが毎月のルーティーン。
でも今回は担当の療法士さん宛てに2点、
- 太もも裏の痛みから「動く」事自体に消極的になることで、筋力が低下し、更に転倒・骨折のリスクが高まってしまうのではないかと心配していること
- 僅かずつでも筋力増強練習、歩行練習を続けていくことで、体力・筋力の維持につながるよう、今後もサポートをお願いしたい
お願いのメモを同封した。
3月下旬、介護士さんからだった・・・
また何か起きたのかと、内心ドキドキしながら応答す。
介護士のxxです。
介護報酬改定で4月よりご利用料金が変わりますので、同封の書類に署名捺印の上、ご返送下さい。
わかりました。
お母様の方ですが、湿布、処方されたお薬、そして注射と、時々に、処置が重ならぬよう注意しながら対応しています。
特に痛み止めのお薬などは常用は避けておいた方が、と思いますので・・・。
それでも最近は、絶え間なく痛みをお訴えになるということがなくなっています。
そうですか、それはよかった。痛みでベッドに寝たきりとなると困りますし・・・
ずうーっとベッドで、ということはありません。調子の良い時はいつも通り車椅子でごぼう先生の体操に参加されます
ご、ご ぼ う ? ご ぼ う ですか?
はい、ごぼう先生の・・・
ごぼう先生・・・ですか。そうですか。
ごぼう先生の体操、というのがありまして、すごい人気なんです。
そうなんですか・・・へぇー。
お母様も気に入られて以前は積極的に参加されていたんです。
そうなんですか! それはすごいですね!
はい、今は腰の具合がよろしい時だけ、になってしまいましたが・・・
私たちも、お母様が参加くださっているとずいぶん助かったりするんです。
そうなんですか?
はい、こういう環境ですとどうしても偶に入所者同士で言い合いになったりすることがあるんです。
はい・・・
そんな時、いつもお母様がスッと中に入ってくださって、うまいこと間を取り持ってくださるんです
本当に、私たちお母様に助けられてるんです。
へぇー。そうなんですか。
それにしても体操に積極的に参加しているとは素晴らしい。
にわかに信じられない快挙ですねぇ。母はあまり社交的な性格ではないので。
あら、そうなんですか?
実家で独り住まいしていた頃は、集いへの参加はほとんどせず、閉じこもり状態で。
昼からゴロゴロしながら甘いものばかり食べるといった・・・そんな感じでした。
そうなんですか。
腰のせいでベッドでの生活になると筋力が衰えてしまいますので、何とかうまいことまた体操に参加できるといいのですが・・・
ほんとにそうですね。また、何かありましたらご連絡を入れますので。
はい、よろしくお願いします。
(“あの“母が体操に参加・・・。
実家ではあの理由この理由をつけその手の集いを完全拒否していた母が、積極的に参加とは。
言いたい放題わがまま言える身内の間ではうまくいかないことも、外の世界ではすんなり上手くいってしまう・・・高齢者あるあるなのかも。)
(それにしても ご ぼ う ってなんだ?)
早速ググってみる・・・・
なんと、不覚にも知らなかった。
ごぼう先生っていう方が、高齢者向けの「楽しい」体操をやっていて前から話題になっていたらしい・・・
介護士さんの口から「ごぼう」と聞き、反射的に野菜のごぼうを頭に浮かべ
「はぁ?」状態になっていた自分・・・。
ごぼうのごは介護のご、ぼうは予防のぼう。
高齢者なら誰でも知っている、懐かしい唄を口ずさみながら椅子に座ってもできる体操。出立ちはごぼう色?の作務衣。
なるほど、これは、子供達に歌のおにいさんがいるように、お年寄りにはごぼう先生がいる、そんな存在なのかもしれない。