な、なんだこれは・・・
私は高を括っていた
木曜日は祭日。2月のこの日、実家のメンテに帰省しようと決めていた。
前日、水曜夜、新幹線の予約席をとろうとアプリを開いた。
東京始発の下り、いつもと同じ時間。
いつも通り窓際の席でいいかな・・・
現れた座席表を見て驚いた
な、なんだこれは・・・
席が埋まっている。
コロナ禍の中、人の居る列に新たに席を予約する者はいない。前後も空席なら なおのこと”ありがたい”。皆考えることは同じ。
おのずと順々に”適当な”列が埋まっていくことになる。
そして・・・
ほとんどの列がもう埋まっている・・・
一車両あたり1割ほどの予約しか入らない、そんな早朝始発の予約席がこれまでだった。
それがどうした?この有様・・・。
木曜日、早朝のローカル線に乗り、東京駅を目指す。
こちらはいつも通り空いている。一つの長椅子の両端に一人づつ、そんな程度。
東京はそんな風にはいかないのよ。
5時台のに乗っても、隣には必ず誰かがいる状態。なんとか座れるだけ。
毎日テレワークっていう訳にもいかず仕方ないけど、電車に乗るのはちょっと緊張するわね。
そうか、東京は違うね。
先月そんな話を妹としていたのを思い出した。
ガラガラの車両内。中高年が多く、皆じっと目を閉じている。
向こうの長椅子の端に20代と思しき女性が一人。前に置いたキャリーバッグが動かぬよう片手を添え、もう片手に持ったスマホを睨んだまま動かない。
今日出かけて、いつ帰ってくるのかな・・・金曜休めば4連休ということかな?
取り止めのないことが浮かんでくる。
いつも眺めることのない車両広告なども一つづつ目で追ってみる
転職関連の広告、そして不動産(空き家)・・・
リモートばかり、入学しても誰とも会っていないと嘆く学生、
アルバイトができず困窮する大学生、
都心にいても仕方がないと地方に移動する会社員、
それでも転職、引越しの季節がまた来たということか・・・
例年とはだいぶ違うこの状況・・・季節は巡りはや一年が経過してしまった。
転職、不動産、そして、その向こうは女性の脱毛サロンの広告、並んで奥には男性向け増毛サロンの広告。
意識的に並べて掲示してある? 時節柄、女性、男性、意図的に並べた?
具にもつかぬことが次々に浮かんでくる。
男、女、年齢、障害、あれこれとひとくくりにしようとする時点で、既に一回り世の中から遅れている・・・。
東京駅に到着。
新幹線の改札口あたりに人溜まりはない。これまでの早朝と何ら変わらない。
改札を抜け、階段を一歩づつ上がっていく。エスカレータを使わない、というのが自身に課した掟。発車時刻までまだ少々ある、時間稼ぎに丁度いい。
ホームに上がり数十歩進んだ辺りにある自販機でコーヒーを手に入れ、最寄りの乗車口前に向かう。これがルーティーン。
なるほど、と合点がいった。
スキー客だ。(スキー板というよりは、ボードを傍にした人の方が多いが)
席を埋めているのは皆レジャー目的のようだ。
それでも列車内は静かだった。
若者、若者と何かにつけ標的にされる今時だが、声が大きいのは中年以上に多い気がする。
若者もカップルならひそひそ声で二人の世界。
友人同士でも少人数なら若者(とひとくくりで呼ばれてしまう人達)の方が「わきまえている」。(人によるのだろうが)
例外的なのは、4〜5人かたまっている場合。
年齢問わず群れると大胆になる、声も大きくなる、人にはそんな習性があるのかもしれない。
幸い、この列車に群れは無かった・・・