第6章 居心地のいい場所をつくるためのヒント
割愛
第7章 徘徊やおもらし、攻撃...認知症の「困った!」にどう対応すればいいの?
1.徘徊
やめさせようとすることは無意味。夜にかけて増えるのはなぜ?感覚に訴えるものが少ないから?仲間といることで安心する混乱した人は不安になり落ち着きがなくなってくるのかも。
2.おもらし
おもらししてしまうこと、いつそうなるかすらわからないこと、それがどんなに恥ずかしいことなのかを理解し、隠そうとしても責めない。床や家具に塗りつけたりするのは、ほとんど希望をなくしてしまった人が注意を引くための絶望的な試み。
3.攻撃
たいていの場合それは力と支配に関係している。混乱している人は自らの人生を支配できなくなってしまい、残された数少ない力の一つが攻撃。屈辱感のなか、できることの一つは弱者を探し粗野な力をふるうこと。攻撃は人とのふれあいと意味のある人生を必要としているというメッセージ。
4.物を隠す・なくす
よく物をなくし、そのためにますます混乱し恥ずかしく感じる。大半は、「安全にしまっておこう」としている。もしかしたら、物が失われ続けているという感覚があるのかも。
自分自身の一部が失われていっている、自分が将来どうなるかわからない、そういう感覚・状況にある人には、すべてが変わっていくーそれも悪い方向にー変わっていくように感じられ、ひどく不安になる。
物を隠すという行為は、これ以上物が失われることのないようにしていると捉えることもできる。
不安を感じているときに効果がある、過去にあった、おなじみの楽しく心安らぐもの;
✔ 大好きな散歩、ドライブ
✔ 特別な料理
✔ お気に入りの洋服
✔ 長年ご愛用のコップ
✔ 美しい思い出を呼び起こす音楽
5.同じことを繰り返す・叫ぶ・その他の騒音
ときに壊れたレコードのように何度も同じ話を繰り返す。はっきりした理由もなく叫んだり、うめいたり、泣き叫んだりすることもある。
脳損傷の結果と片づけてしまうのは安直。
考えられる理由;
✔ 苦しんでいる、不安だ、寂しいと言いたい?
✔ まわりであまりにも多くのことが起こっていたり、出来事の展開が早すぎたりするとき「私の望みも考えてほしい」という抗議
✔ 「私に気づいて、ここにいるよ」と言いたい。「静かにして」と言われてしまうだけだとしても、注目されないより何らかの形で注目される方がいいのかも。
✔ まだ生きていると自分に証明するため、自分に刺激を与えている、つまりは周りの人からの刺激が少なすぎる
6.性的に不適切な行動
割愛
7.妄想・幻覚・非難
本当に認知症のせいで生じる妄想や幻覚の場合、必要なのは治療より理解。それが本物でないと言うことは無意味だが、ふりをする必要もない。何かを伝えようとしているのかもしれない。
問題ではなく、その人に目を向ける。批判・非難は問題行動を助長してしまうかも。問題に焦点を当てたものではなく、その人に焦点をあてた(パーソンセンタード)ものなら、その人もあなたも今よりずっと幸せになれる。
第8章 薬とはどうつき合えばいいの?
現段階で本当に役に立つのは人の力、薬が問題の一部である場合もある。安定剤はあくまでも最終手段。
抗うつ剤となると話は別、ただし万能薬ではない。効果の有無を確認するのは医師だけの責任ではない。医師は薬について専門家かもしれないが、介護する人については、あなたこそが専門家。
第9章 その人に合ったケアを計画しよう!
「スタッフによる継続的な支援」というような曖昧な言葉はケアプランには役に立たない
第10章 施設にはいるときに気をつけてほしいこと
虚弱なお年寄りを介護する人たちはたいてい、身体的な必要性に基づいて決断する。おそらくは力仕事や専門の看護が必要で、介護技術のない介護者が自宅ではできない。
しかし、身体的には健康でも知的に混乱した人を施設に入れる場合、決断は単純ではない。なぜなら、介護者の必要性によるところが大きいかもしれないから。例えばいつも睡眠を妨げられたり、問題行動があったり、24時間目を離せない等。これらの負担は介護者・介護者の家族に心理的・物理的に大きな苦痛を強いる。混乱した人の望みをすべて満たすということは、ときに介護者自身の望みをひどく無視することになってしまう。
もしあなたがそんな状況にいたら→
自分自身と介護する人に正直になってください。あなたは罪悪感を覚えるかもしれませんが、あなたの望みも決断の際に考慮しなければ、罪悪感はかえってひどくなってしまう。
・老人ホームを選ぼう
この問題は難しく痛みを伴うもので、全く手に負えなくなってしまうまで家族は検討を先送りにしがち。しかしその時には選択肢を吟味するのに必要な時間がもっと限られてしまう。
利用できるものについて必要になる前に学んでおくこと。そしてサービスを利用することが理にかなうとなったとき初めてサービスを利用する。ケアのレベルもシステムも様々。同じカテゴリーに属するホームでも足を踏み入れてみると大きな違いがある。
-たとえ相手があなたのことを誰だかわからなくなったり、名前を忘れてしまっても、あなたにそうと伝えることができなくなっても、あなたが訪ねてきてくれることは相手の心の奥に響くもの。
-その人のケアに積極的に関わり続けるようにしてください。よい施設のスタッフはそうすることをうながし、喜んでくれる。そうでない場合はあなたが少し自己主張をする必要があるかもしれない。質問や提案をして、どんな心配事でもすべて話し合ってください。できる限りその人に合ったケアをするためには、あなた自身を含むすべての介護者のチームとしての取り組みが求められるのです。
-あなたと相手との関係はここ数年難しくなっていたかもしれませんし、ずっと以前からそうだったかもしれません。しかし、日々の介護という負担がなければ、関係を改善することが可能だとわかるでしょう。
・・・ただ、これからどのような日々がおとずれ、何が起きるのか・・・今の私にはわからない・・・。
- 「パーソンセンタードケア入門」を読んで・・・⑤へつづく -