廊下で後ろから呼び止められた。
真坂さん
ふり返ると、Oさんだった。
あっ、どうも
お母さんの方、その後どうですか?
・・・とりあえず手術は無事済んで・・・
合併症などのリスクが高まる術後2週間がほぼ経過、といったところです。
救急病院なので、そろそろ転院の話が持ち上がってくる、そんな時期でしょうか・・・。
そのまま元の施設に戻るのか、それともリハビリのために回復期病棟のある別の病院に転院するのか・・・リハビリの経過次第となるのか・・・まだわかりません。
そうですか。
でも、真坂さんのところは、戻る施設があっていいですよね。
うちのオヤジは入る施設が・・・実家でお袋が面倒見ているけど・・・
痰の吸引があるもんで・・・。
住居型でなく、介護付老人ホームの中で受け入れ可能なところがあるかもしれませんよ・・・
それが受け入れてくれるところがあまりなくて・・・
いや、あるにはあるんだけど・・・
近場では20万、30万、が当たり前で、いくら僕が補助するといってもそこまでするとこっちの家庭が大変になってしまう・・・
あとは、もう家族ごと住まいを地方に転居するしかない、予算的に見合う施設のある土地へ・・・。
(Oさんは確か千葉県か・・・)
もう、だから言わんこっちゃない、タバコばかりスパスパ吸ってると後々大変なことになるぞ、と何度も言ってきたのに・・・大丈夫だ大丈夫だで・・・
医者に言われて表向きやめた風を装っても、お袋に聞くと「陰で変わらず吸ってるよ」ってなる・・・
ほとんどの人が何かにつけて「俺は、私は大丈夫」と思っているようですね。「私はもうダメ」というんじゃ困るし、「大丈夫」と思うこと自体は結構なんですけど・・・
最近の高齢者ドライバーの踏み間違いみたいな構図と似てますね・・・。
(まさか、という坂はどこにでもある。
でも、転ばぬ先の杖、杖の準備は怠りなく、なんて人は少ないし、それ以前に転ばない策をとるなんて人は更に少ないか・・・)
ですよね。
だからといって、ほれ見たことか、言わんこっちゃない、このザマだ、と知らんぷりすることもできない・・・
結局のところ周りの家族共々、大変な状況に・・・
うちの親父は、痰の吸引も24時間しなけりゃならないので、お袋一人ではとても無理・・・お袋の身体が持たない・・・
介護度はどのくらい・・・
要介護5なんですよ
それは・・・
ええ、だから目一杯デイサービス を使って介護士さんに、と色々相談もしたけど・・・
結局、介護士さんでは対応は難しいと・・・じゃあ施設ではとなると、施設でも24時間対応してくれるところはあまり無い。偶にあった、となると結構な料金となる・・・。
それで病気のことで、たまたま相談したxx病院で当座の看護は面倒みましょうとなって入院はしたんですよ。
年齢はおいくつ?
7x歳なんです・・・
あぁ、でしたら・・・
そう、高額医療費云々ってのがあるでしょう?
でも、今度はそのxx病院が転院話しを出してきて・・・1ヶ月程経ったら、そろそろって・・・。
そりゃないでしょうと、当座の面倒見ると言ってたじゃないかと、文句を言ったんですよ。
で、担当医とよくよく話して、それじゃぁまずは3ヶ月様子をみましょうとなって・・・それが今の状態。
(妹の知人の親が療養病棟にずっと居続けている、という話もあったな・・・)
病院も強制的に、ということはないのでしょうが、ただ、病院によってその対応に差があるとは聞いたことがあります。
親父さんはともかく、Oさん自身大丈夫ですか?
僕?
遅かれ早かれ誰もが歳を取る。そうなってから、まさか!とならぬよう今、気を付けてますか? Oさんもタバコすってますよね?
いやぁ、ちょっとまずいな・・・
俺は大丈夫、でも・・・の、「でも」のところを・・・お願いします。
ほんとですね。
私も偉そうなことは言えませんけど・・・。