先々週末~今週にかけ連続3回入浴されませんでした。
ご本人は「傷があるのでお風呂に入ってはいけないと看護師さんに言われた」と言って拒否されたそうです。
次回は、入浴出来る様あの手この出でチャレンジしたいと思います。
施設長からそんな話を受けた後、母を見舞った・・・
どう?その後傷の様子は?
そうだねぇ、あまり変わらないねぇ。
聞いた話だと経過は順調で大分よくなっているらしいよ。治りかけの時はかゆくなるからね、患部を掻いたりしないように我慢が肝心だね。
都心の駅前にある地下街に浮浪者が何人も住んでいたりするけれど、周りにレストランが多いので食べ物に苦労はないらしい。けれど、風呂には入らないので・・・
あぁ、なるほどね。
そうそう、結構臭いがしたりする。食事はきちんとできていても、やはり不潔にしておくと色々健康上の問題が出てくる。
そうだよねぇ。
変な話、母さんもくれぐれも清潔にしておくことだね。 そろそろ気温も高くなってきたし、暑い日は風呂に入った方がさっぱりするでしょう。患部が気になるようだったら、サランラップでぐるぐる巻きにしたらどう?
アハハハ、大丈夫だよ。傷口がお湯に浸からないように入ればいいんだよ。
(あれ?既に入浴前提?)
まぁ、それは冗談として・・・やはり人とのお付き合いもあるからね。身だしなみとか、何?あの人?なんて言われないようにしておくことは大切かもね。
そりゃそうだ。でも、あたしは大丈夫だよ。
(・・・)
見舞いを終え、家に戻った後 施設長に連絡を入れ、コピーをケアマネさん、各デイ先に回覧。
認知症の人の入浴拒否、については色々耳にしたことはあるのですが・・・母の場合 果たして 本人言うところの傷に関わることが理由なのか、他に何か思い込んでいることがあるのかは なんとも判断しかねます。
確かに「傷があるから風呂に入らない」と母が思うに至る可能性はあります。
K病院で患部に感染症の疑いありと初めて診断された後 病室に戻った母がふともらしたのは
「お風呂に入っているのが良くないのかねぇ・・・入りたくて入っているわけでもないので もう入らないでおこうか?」
でした。
「勝手に判断せず、担当医なり看護師さんなりに聞いてみたら?」
と応えましたが、その後実際に母が担当医の方に尋ねてみたのかはわかりません。ただ、その後 病院で入浴拒否ということはなかったと思います。
当時から母の心の中に「傷」と「入浴」を結びつけるきらいがあることは事実なので、(傷があるので入浴は、という思いが今回の入浴拒否の原因、と仮定するならばですが)今回も”何かの拍子に”その思いにとらわれ、「私が勝手にそう判断しているのではなく、看護師さんがそう言っているんだ」という作話めいたところから、いつの間にか本当に看護師さんにそう言われたような気持ちになっている・・・という可能性はあると思います。
そういう事なら、看護師さんなり、担当医の方に、
「よく辛抱しましたね。大分良くなったので、もう入浴しても大丈夫ですよ。」
というような声かけをしていただければ、又入浴をすんなり受け入れるのでは、とも思います。
近々、定例の回診日があると伺っておりますが、間に合うものであれば一つのチャンスかもしれません。個人的な想定に過ぎませんが。
いや、実は入浴を拒否する本当の理由は他にある・・・となりますと、私の想像の範囲を超えてしまいますので、なんとも推察のしようがありません。
性格的に意固地、偏屈な部分がありますので、同じ表現で繰り返し説得しすぎるとかえって反発し意地をはってしまう可能性もあります。ご迷惑をおかけすることにならないか心配です。
「都心の駅前にたくさん路上生活者がいるがレストランが多いので食べ物に苦労はしないらしいよ。でも風呂にあまり入らないので臭いがどうしてもね・・・。栄養はとれていても不潔なのはやはり問題だね。」
と、本人がそれをどう解釈するかわかりませんが、風呂と清潔を意識の中で結びつけてくれればと願いそんなとりとめのない話もしてみました。
母の入浴自体について直接問うことは避けましたが、「暑くなってきたしこういう日は風呂にでも入ったらさっぱりするだろうね。傷口が気になったらサランラップでも巻いたらいいんじゃないか。」とおどけてみたところ「大丈夫だよ、お湯に浸からないようにすれば」といたって普通に答えていました・・・が。
「入浴拒否」は、認知症の人に起こりがちな”あるある”としてよく取り上げられている。果たして母がどのケースに当てはまるのか、当てはまらないのかはわからない。
以前読んだパーソン・センタード・ケアの本にも「お風呂のこと」としてページが割かれているので一部の項目だけ抜粋しておきます。
●気持ちよく入浴してもらうためのヒント
お風呂に入ることが理解できない様子の時
- 慎重に進める
- 誘うときは短い言葉、優しいトーン、笑顔を忘れずに
- 返事を待つ
- 違う表現を使っても
- お風呂に着くまでは、ずっとお風呂の話題を
- 脱衣をする前にもう一度
- 服を脱ぐのは自分で
- 必ずお湯の温度を確認してもらう
- 無理をしない
面倒だから入りたくないというとき
- お湯の温度を確認してもらう
脱ぐのが恥ずかしい様子のとき
- ひとりで入ってもらう
同性または異性の人の介助が嫌というとき
- 誰の介助がいいか、確認をする
ケース1;特定の曜日しかお風呂に入りたがらない
- Step1 思いを「聞く」
- Step2 情報を「集める」
- Step3 ニーズを「見つける」
→ケアプラン デイ利用の曜日を変えてもらうよう家族に提案
→曜日を変えることはできず。そこで「お待たせしました。お湯を入れ替えたので、温度だけでもみてもらえませんか?」と誘ってみると、入浴まで誘導できた。
ケース2;ある1日だけ喜んでお風呂に入る
- Step1 思いを「聞く」
- Step2 情報を「集める」
- Step3 ニーズを「見つける」
→ケアプラン 脱いだ衣服を洗濯するときは「衣服はスタッフが洗濯しています」と書いた紙をタンスに入れておく。服がない、とタンスを開けたときに不安になってしまわないため。 お風呂に入るときは「脱いだ服は明日一緒にお洗濯しましょう」とスタッフが声をかけるようにする。
→スムーズにお風呂に入ることができるようになった。
数日後、施設長から連絡があった。
御心配をおかけしました。
昨日、デイ先で入浴されお帰りになられました。
よかったです。
暑かったのも手伝って、うまく誘導していただいたようです。
なぜ”その時”母は入浴を拒否したのか・・・今でもそれはわからない。