それ 認知症かも

認知力の衰えを頑なに否定する年老いた母。それを反面教師に自らのこれからを考える息子。

高齢者施設見学 ①

予定通りK病院到着。相談員さん達の事務所は外来の待合室横にある。


院内に入るなり、その待合室に母がいないことを真っ先に確かめる。できることなら今日は会わずにおきたい。週末ここに見舞いに来てまだ2日とたっていない。いくら記憶にとどめておくことが難しいとはいえ、さすがに間髪入れずこのタイミングで何しに来たと勘ぐられては困る。

 

すぐに事務所に入る。

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真坂です。今日はよろしくお願いします。

 

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無理を言ってすいません。先にお母様に会っておきますか?

 

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いいえ、できれば今日は内密で。変に勘ぐられては困りますので。


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わかりました。今日はこれからA施設の見学に向かいます。ケアマネジャーとはそちらで落ち合うことで申し合わせました。A施設では新任の施設長がお待ちしております、新任と言いましても同様の施設でこの道30年のベテランの方です。

真坂さんからの質問表はすでに共有しております。何を聞かれるのか緊張すると言っておりました。

 

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やはり、そうなってしまいましたか・・・。文面にも書きましたが、文字にしますとどうしても身構えられてしまいますよね。それでも、現場でとりとめもない話をして、そのことだったら事前に言ってくれれば色々用意できたのに・・・となるのも失礼かと思い、その方が効率的かなと思いましたので・・・。

介護職の方は皆さんとてもお忙しいと思いますので、いたずらにお時間を頂戴するのは避けたいという思いもありますし。

 

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大丈夫です。施設長にも、一度会ってもらえば過度に身構えるに及ばないとわかりますよ、と伝えてあります。それでは参りましょうか?

 

K病院の中庭を通り抜け小道を横切ればA施設駐車場だ。すぐに到着。


早々に施設長さんとご挨拶、向こうの扉が開き二人ほど若い介護士さんが現れ、こんにちは、と声をかけてくれる。

施設長が新任ということなので、それがA施設での日常なのか、それとも、この日こういう人が来るから、来たらご挨拶お願いね、と今回指示されたのかはわからない。

玄関横が事務所になっており、名刺を頂戴し再度ご挨拶。例によって女性の年齢を推し量る能力を欠く私には測りようもないが、年の頃60台といったところか。

程なくしてケアマネジャーも合流。ケアマネさんは多分?若手?20〜30歳?

 

f:id:masakahontoni:20190503183506j:plain頂いた質問表に関し回答をまとめましたのでこちらをどうぞ。


用意された回答書を渡され、それに沿って施設長さんが説明を、ところどころ追加で私が質問、といった形で面談が進む。

 

先に相談員の方が言っていた

「A施設は大きな病気よりも認知症をまず発症してしまい、周辺症状が強く、身体機能は普通でも認知機能低下により、通常生活を送れなくなってしまった方に対してもケアを充実している印象があります。」

について、施設内に設けられた部屋で地域密着型の認知症対応デイサービスの現場も見せてもらったが、なるほど、今回の面談でも施設長が口にした「ある程度の認知症の方でも断ることなく受け入れていく」という姿勢がA施設の特徴なのかもしれない、というところまでは納得できた。

本質的な疾病の他に認知症も併発した方はB施設で、A施設では特に認知症のため自立生活が難しくなった方を、という点も(言葉の上では)なんとなく理解できる。

 

施設内にデイサービスがあるというのは”通う”のが楽だが、逆に外に出る機会が減るという側面もある。

f:id:masakahontoni:20190503190639j:plainその現場での介護士さんの説明はとても熱心、日々どのような活動・レクをその部屋で行なっているか、また、日によっては近隣のショッピングセンターに出かけたり、お花見等イベント時にはできるだけ外出しているようにしている・・・等々話して下さりわかりやすかった。

皆で共同制作したというイベントカレンダー、貼り絵、張り紙、などの日々の(成果)も壁に貼ってあった。なかなかの出来栄えだ(出来栄えの良し悪しが判断材料というわけではないが)。


地域密着型の認知症対応デイサービスとなるので、母がこのデイサービスを利用するには居住地の変更が必要になるが、気になったのは別の事。

それは参加されている方々の様子。

重要事項説明書にある入所者の介護度から想像していたものとは違い、少なくとも認知症の程度という点で、母より重いのかな、という印象を受けた。

 

f:id:masakahontoni:20190503190249j:plain静かなのだ。


皆さん、互いに会話をするでもなく、作業を黙々としている方、前をじっと見ている方・・・。


私への説明をする方含め計3人の介護士さんが現場にいらっしゃったが、うち一人は同室内に併設のトイレに介助のため一人についており、別の方がレクの現場で一人一人の入居者に話しかけを行なっている、そんな現場であった・・・が、介護士さんの話しかけにも参加者皆さんの反応が薄い。

もう少々賑やかな現場を想像していただけに、果たして”現在の”母にこの現場は適当なのだろうか、話し相手を見つけることができる、いや、話し相手がいるのだろうか、という点で不安を感じた。

 

一場面しかとらえず思い込むのもどうかと思うが、少なくとも介護士さんは熱心だ、反応が薄くとも付かず離れず話しかけ見守っている雰囲気もある。

認知症対応デイサービスの見学自体初めてなので比較しようがないが、こういうものなのかもしれない。確かに”慣れた”介護士さんの対応が必要だろう。

 

では、それが今の母にとってどうなのか、適当なのか? ・・・違和感が残った。

 

高齢者施設見学 ②へつづく