ざっとであれ、初めて老人ホームというものの内部を見た。全てのホームが類似などということは無いし、それぞれいい意味でも悪い意味でも異なる特徴・個性があるのだろう。
家に戻り、あらためて、あの「高齢者ホームの探し方」の内容を振り返ってみた。なお、✔のついているものは今回の”初”見学で処理・確認済みのもの。
前提事項
- 要介護3以上の終のすみかは足りている
- 施設と住宅の違いがなくなってきている(重篤者の施設は足りている→事業者も自立~要介護2を想定した営業に切り替えてきたフシがある。これからは、施設だ住宅だと神経質にならなくてもいい。)
- 有料老人Hよりサ高住の方が増えていく(補助・優遇面から)→補助金だ税制優遇といった話には群がる輩が次から次へと出てくる
- 入居一時金はサービスの善し悪し(介護の質)と関係しない→ハードウェアに充当される
- 月額料金は入居後のサービス品質と緩やかに相関する
- 施設の方が住居より安心とは言えない
- 施設でも住宅でも退去を求められる場合はある(契約書上に、認知症による問題行動などで共同生活が困難な場合は退去してもらう場合がある、という条項が記載されていないのは、東京海上日動サミュエル社運営のヒルデモアのみ。)
- その地域で”評判のいい”医療法人が開設した物件は穴場、コストパフォーマンスがいい(特に地方では)
明らかに疑った方がいい物件の特徴
- CM、広告など宣伝がド派手(本来サービス向上に費やすべきお金)✔
- 開設1年経過しても入居率50% ✔
- HP、パンフに金額情報がない ✔
- 設立経年に比べ、職員(特にケアマネ)の勤続年数が短い
- アポなし見学に応じないor困惑する ✔
- 倒産の場合の入居金返金、過去の虐待・盗難事件有無、といった質問に動揺する
- 感情的に、なんとなくしっくりこない
- 居心地の善し悪しは現場トップによるところが大きい。背広組ではなく現場責任者に。サ高住なら事業所長、有料老人Hなら施設長や、サービス責任者(ケアマネ、介護福祉士)
- 入居者と出会う機会があればラッキー
高齢者ホームの選定基準
チェックポイント;合格ライン60点
- 職員の人となり
- 身の回り支援
- 食事時間・場所の融通
- 面会・外出・外泊の自由度
- 建物(外観・内装・使い勝手) ✔
- 居室(広さ・使い勝手・センス) ✔
- 異臭・悪臭 ✔
- イベント
- 立地(環境・アクセス・駐車場) ✔
- トップ及び生活相談スタッフの経歴・資格
- 安否確認(頻度、誰がどのように)
- 家族とのホットライン(定期的近況報告、タイムリーな連絡)
- 緊急連絡設備(ナースコールは双方向が原則。発信専用X。見学時必ず試す。)
- 日常的医療サポート(専門診療科目と診察頻度。医師との相性が合わない場合は?専門以外の診療科について確実に紹介してもらえるか)
- 休日・夜間の要員体制(看護士常駐か介護職か、医療的見識がどの程度か)
- 緊急時医療サポート(家族が駆けつけられないとき救急車に同乗有無)
- 提携医療機関の入院設備
- 老い支度のサポート、含葬儀社対応
- 職員研修
- セキュリティ
- 衛生管理(建物に入る際、手荒いとうがいの徹底)
- 耐震性・耐火性
- 契約書・重要事項説明書写しをもらえるか ✔(重要事項説明書)
- トラブル・事故事例、退去事例、死亡件数などの情報開示
本質を見抜くための5つの究極質問
- あなたの両親を入れるとしたら、こちらを選ぶ?
- 入居者の家族会は?拝見できる?
- どうして介護の仕事を選んだ?
- 他には絶対負けない点は?
- スタッフに接する際に工夫していることは何か聞きたい
誰に何を聞くべきか
- 契約前に、契約書、重要事項説明書(✔)の内容入手は?→全国有料老人ホーム協会「入居者の希望に応じて重要事項説明書を渡すよう」指導
- 緊急時の連絡手順書。文書化して渡してくれるのは100件に1件。
ところで、筆者が文中で引用した”東京海上日動のヒルデモア”とはどのような施設なのか。
サイトからわかる範囲で注目点をあげてみた(サイトにある以上、それすなわち運営サイドが謳うところのセールスポイントではありますが);
- 「終の住処」を約束、退去規約無し(除一部施設)
- 看取り期介護約束(看取り割合8割、ホーム内葬儀6割)
- 看護スタッフ24時間常勤
- スタッフ体制1.5:1以上(除一部施設)
- 認知症入居者への取り組み(パーソンド・センタード・ケア推進、認知症ケアマッピング実施、有資格者在籍数51名、内上級資格者3名-2017年6月1日現在)
- 9種類の食事形態(常食~ゼリー食)
- 規模災害に備えた事業継続計画、定期訓練実施。家族への緊急時連絡システム。
- 料金 前払い方式(500万円~1億円+月利用料~60万)or 月払い方式(~140万円)
等々、料金除けば、納得のセールスポイント。こういうのを先に見せられ、それがあるべき姿・求められる姿の基準としてしまうと、
- 終の住処?それは難しい、退去規約?あるのが普通かもぉ
- 看護スタッフ?介護スタッフ一人ならぁ・・・
- スタッフ体制?なんとか3:1かなぁ
- 認知症への取り組み?ユマニチュード?パーソン・センタード・ケア?聞かないねぇ
- 食事?皆同じかなぁ
と、ともすれば、それで仕方が無い、それ(=無いの)が”普通”のように見えてしまうのがこわい・・・。
でもそれは違う「はず」だとも思う。
ヒルデモアの場合、施設に関わる経費の割合が相当高いはずで、箱物は立派でなくとも看取り、認知症への取り組みが「ある程度」可能な施設は有るのだろう。
但しスタッフ体制はあからさまに人件費直結の事項なので、そのあたりが「高齢者ホームの探し方」の筆者があげている
- 入居一時金はサービスの善し悪し(介護の質)と関係しない→ハードウェアに充当される
- 月額料金は入居後のサービス品質と緩やかに相関する
につながっているのかもしれない。
そしてもう一つ参考にと急遽調達した書籍がある。最近出版されたものらしく書店で目につき手に取った。店頭でパラパラとめくり目に飛び込んできたセンテンス・・即買いした理由はその一言にある・・・
老人ホーム初見学後、復習&予習・・・② へ続く
<余談>市販の本ではユマニチュードのなんたるかを漠然としか掴むことできず、後は研修を受けてね!となり消化不良状態になった覚えがあります。パーソン・センタード・ケアについては(勿論、研修、資格色々あれど)、ユマニチュード本よりはより詳しくわかりやすく書かれているものが多い印象。機会があればまた紹介したいと思います。あともう一つ「バリデーション」が有り、それぞれ共通する部分多くあるらしい・・・。