A施設は、K病院母屋から歩いて5分の距離。
出迎えたのは中年の担当者。明るく快活で人当たりがいい。
今月いっぱいで離職予定だというが、それが介護現場あるある(=入れ替わりが度々ある)の日常的なことなのかはわからない・・・。
建屋自体は8年経つというが新しく見える。多分所々リフォームしてあるのだろう。匂い・異臭の類いは全くない。
個室が20ほどあるが今月初め9床ほどあった空き部屋が その後南向きの部屋から3床がうまり見学時空いているのは6床。
建屋の中心に食堂(兼談話室となるのはK病院と同じ)そこを囲むように個室が並んでいる。各部屋は独り住まいには広すぎるくらいだ。食堂には数名。皆デイサービスで出かけているという。なるほど し〜んとしているはずだ。
ところで介護施設の個室・居室面積には規定があるらしい。広すぎる、狭すぎるかは人それぞれなのだろうが、大抵の場合基準値を満たした居住空間がこれ、ということなのだろう。
出処;厚労省 職員配置及び居室面積基準の改正経緯等(pdf)
居残った数名は話すでもなく席に座りじっとしてこちらを見つめている。廊下に男性が一人ゆっくり歩いている、というよりは若干徘徊に近い印象。
ただ、みなさんとてもおとなしい。暴言・大声の類いもない(聞こえてこない)。ここでの時間はずいぶんとゆったり流れているかのように思える。
K病院で処方されていた薬などあれば出入りの調剤薬局と契約することで、薬局が施設まで薬を配達、施設で服用の管理をするというA施設。
夜中に重大な状態でというようなことも過去ありましたか?
担当者の返答は早かった。間髪入れずに私の目を見ながら即答・・・
はい、ありました。
その場合は症状により、K病院他提携している近隣病院に搬送される手はずになっています。
その後、ざっとではあるが施設内を巡る。
こちらの施設だと、お住いの地域からこちらへ転居届けを出して頂くことになりますね。役場への届けだけなのですぐに手続きはできると思いますが。
この点ちょっとひっかかった・・・この場では「転居届出すだけなら」と軽い気持ちで受け取っていたが、後々入れはいったい?ではどうするか?悩むきっかけとなる・・・。
それともう一つ。
個室を見せて頂いた際、枕元に備え付けのナースコール(ナースは常駐していないが)についてだ・・・、
こちらが備え付けのベッドになります。ナースコールも設置されています。ただ、こちらは送信のみで受け手との会話はできません。
その場では、ああそうですか、と聞き流していたが、後で”ああ、あのことか”と思い起こす点となった(後述)。
ささっとA施設屋内を一周し見学終了、歩いてB施設へ向かう。
B施設との間には大きな駐車場が有りK病院に従事する方々の自家用車が停められている。
大きな駐車場ですね。
勤務している者が200名程おりますので・・・。今日はお車で来られたのですか?
いいえ、バスで。
そうなんですか、大変だったでしょう? 施設の場所としてご不便ということはないのですか?
いいえ、駅前からバスに乗るだけですし。1時間に1本ということはありますが、それに合うように来れば済むことなので。
1時間に1本ですか・・・。こちらは車がないと何処にも行けないので大変です。
S病院でも似たような話を看護師の方とした覚えがある。
”いいですねぇ、あちらは。公共機関がしっかりしてますものねぇ”とうらやましそうに言っていた。
こう見えて?私自身も皆さんと同じ地域(厳密に言えば隣町)の出身だが、公共機関が、とか、車が、とか 余り意識した覚えはないのだけれど。あまりに若かったせい?
駐車場を横切りることで ものの2~3分でB施設到着。
こちらでは施設長の方が応対。
すみませんが、所用がありますので、ここで私は事務所の方へ戻りますがよろしいですか?
はい、大丈夫です。K病院への道筋も下見済みなので問題ありませんしw
終わりましたら、事務所の方へお声をかけます。
それではよろしくお願いします。
B施設の施設長は50代?いや60前後?といった風。
外から眺めたとき似たような印象受けた建屋AとB。施設内部もAと大きな違いはないが、B施設の方がこじんまりとしており、Aよりは先に建設された雰囲気がどことなくある。
Aにはちょっとしたウッドデッキ状の中庭があり、そこでちょっとした日光浴も、と担当者が紹介していたが、Bにはそのような空間/スペースは無い。
個室も多少こちらの方が小さいのかもしれないが、だからといってそれが問題になるような狭さではなく必要十分のように見える。
そして、こちらが備え付けのベッド。寝具は家でお使いのものでも新たにこちらでレンタルすることもできます。こちらがナースコール。K病院と同様、双方で会話が可能です。
あっ、そうですか。A施設では送信のみでしたね。
そうですね。こちらは双方向です。
同じ経営体でも微妙に違いはあるようだ。
気になる匂いがしないのはA施設同様。
施設長は早口ながら事細かに、トイレを案内すれば こことここに手すりがあります、
風呂場に行けば、こちらは自ら動くのが困難な方用に自動で、隣のこちらは湯船に自ら入れる程度の方用に低めの湯船が完備されています、
こちらはショートステイ用の部屋、こちらはデイサービースの事務所、
ここがK病院同様に栄養士管理の食事が運び込まれるところ、
こちらはお薬置き場で入所者個々別々の引き出しに服用間違いのないように、
と次々と施設内を巡り紹介を続ける。
ほとんどの方がデイサービスに出かけているのはA施設同様。偶々?この日そこにいた残留組(デイサービスに行かずに残っていた数人の入居者)で比べるのも少々酷な気もするが、こちらの方々の方が若干騒がしい印象。
カーテンで仕切られたトイレ前に車椅子の高齢女性が3人ほど並び、
「ちょっと、早くしてよ!」
と内一人が女性介護士さんに言葉をぶつけている。介助なしには用が足せない方々が並んでいるのだろうか?
「はいはい、ちょっと待っててね。」
「あぁ、大変!大忙し!」
といつものことなのか慣れたように明るく声をあげる介護士さん。
介護士の笑顔に気持ちは救われるが、介護士さんも明るく努める、そういう声を上げることで自らを鼓舞する部分もあるのではないかな、と内心思った。
私のような者には、そうしないと・・・自ら気持ちを上げずに下を向いていたら・・・やってられないかもな、と。
一人でこの場面をこなすのはかなりしんどいようにも見えるが、介護の現場は皆こうなのだろうか。急な見学を私が申し入れなければ、施設長と二人掛かりで、というのが日常なのかもしれない。
これ以上私のために施設長を拘束するのに気が引けたので(&帰りのバスの時間も気になり始めた・・・何せ1時間に1本)、はいよくわかりました、と相づちを”気持ちはっきり目”に返し始めた私だったが、施設長の部屋ごと設備ごとの説明は終わらない。
毎週一度K病院の医師がこちらへ回診に来ることや、夜中に重大な事態となる例もあるがその場合はA施設同様、症状容態に見合った診療病院へ救急搬送することになっている、等・・・。
A施設、B施設の違いは何でしょうか?Aは認知症対応と聞いてはいるのですが、皆さんある程度高齢の方々が多いようなので・・・となれば当然、認知症の方も自ずからある程度はこちらB施設の方にもいらっしゃるはず、と想像するのですが?
そうですね、あちら(A施設)の方が認知症の方の対応になれたスタッフが勤務しています。
そうですか、とその場では聞き流したものの、逆に認知症に不慣れな介護スタッフとは果たしてどういうものなのか どうにも思い浮かばずよくわからない、というのが正直なところ。
「次のバス」15分ほど前に施設長の説明が終わる。まさにご多忙のところ、一通り説明してもらいながら内部を見られたのは幸運だったのかもしれない。
施設長に礼を言い、出入り口の自動ドアを解錠してもらいK病院へ向かう。勿論2〜3分の距離。相談員方々の控える事務室に声をかけすぐにバス停に向かう。
例によってバスに先客は数えるほどしかいない。絵に描いたようなローカル線ではある。でもそれが気になったことは一度もない。こんなもんじゃないのか?漠然とそう思う。
私のように遠距離、遠く離れたところから列車で、時折、という者には、最寄駅→バスの乗り換えさえスムーズなら十分。
これが近隣で足繁く見舞うとか、当人が自由に外出する状態だとかそういうことなら更なる交通の便がmust事項として望まれることになるのだろう。
ところで、A、B両施設共に正確な呼称は「住宅型有料老人ホーム」
<住宅型有料老人ホーム>で検索すると;
- 主に民間業者が運営、常駐スタッフによるサービス有りの高齢者向け施設
- サービスは食事・掃除等の生活支援が主、外部業者と契約し介護サービス受けることも可能
- 基本的に自立した高齢者向け、要介護、認知症受け入れ施設もある
- 介護付き有料老人ホームに比べ、安価な場合多い
- 医療ケア充実している施設もあるが、要介護度重くなると、住み続けることできない場合も有り
- 住宅型有料老人ホームの契約は「利用権方式」、サ高住は「賃貸借方式」
- 介護サービス負担額により、「高額介護サービス費制度」(pdf)の利用可能
- 高額医療・高額介護合算療養費制度が適用される
とある・・・が、今回見学したホームの契約方式は異なる。あくまでも一般的にということなのだろう。