それ 認知症かも

認知力の衰えを頑なに否定する年老いた母。それを反面教師に自らのこれからを考える息子。

胸騒ぎ(手術)

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- 前回から -

談話のない談話室、窓際の椅子に腰を下ろし妹にメールを入れた。

f:id:masakahontoni:20190218171516j:plain14時、手術開始。完了後また知らせます。

 

そして・・・

 

14時半

することもなく手持ちぶたさを感じる。2時間の手術なら終わるのは16時、とあたりをつけ1階にあるという売店に足を運んだ。

f:id:masakahontoni:20190220111309j:plainミニコンビニ的外観のそこには入院中 必要な諸々のものと、通常の飲料・軽食品等が置いてある。

何年かぶりに菓子パンなるものを購入。こんな時ぐらいいだろう、と思った。自分への言い訳のつもりか、「低糖質」と宣伝文句が袋にあるものと、紙パックの野菜ジュースを手に取り、

f:id:masakahontoni:20190220111607j:plain流行の「挽きたてコーヒー」が紙コップに注ぎ込まれる間、周りを見回すと、持ち込み飲食ができるよう すぐ隣に小部屋がある。

こじんまりした正方形のテーブル脇の子どもに丁度良さそうな小さな椅子に座り込み、久しぶりの菓子パンを食す。

甘いわ~

久しぶりに食べる菓子パン。食べ付けていない分 一層甘く感ずる。

パンの包み、ジュースのパックにあるバーコードをMyFitnessPalに読み込む。こんな時にやるか?と人が見ていたら思うのかもしれないが、そんなことでもしていないと間が持たない。

 


15時過ぎ

談話室に戻る。先客一人。

 


15時半

変わらず 談話室には先客と私だけ。あの先客はスマホに見入っている。

 


16時

2時間経った。そろそろかな、と時計を見る回数が増える。

あの先客は全く動かない。もしかしたら、同じように手術終了を待っているのだろうか?

 

16時半

いい加減、そろそろだよな、とこの30分心の中で繰り返している。

先客が席を立ち病室のある方へ消えた。そこへ入れ替わり一人女性が入って来た。

それにしてもちょっと遅くないか。

 

17時

ナースセンターに行き、〜号室の真坂ですが、手術の方はどうですか?と尋ねる。

まだみたいですね、連絡が来ましたらおしらせしますので、と申し訳なさそうな応え。

談話室に戻ると先ほどの女性が看護師と話している。この談話室で初めての”談話”。何を話しているかは聞こえない。女性はどこぞの包括支援センターの職員のように見える。入院患者のことで来たのだろう。

そういえば、真坂家担当のあの包括さん、一度来院すると言っていたが、術後折を見てのつもりなのだろうか?

 

17時半

依然知らせは来ない。こんな時 人は悪い方へと物事を考える。

何かあったのか?うまくいかなかったのか?難航しているのか?いや、もしかして・・・。

そんな時は、

いや、なるようになるさ

と思うことにしている。

ジタバタしたところで何も変わらないのだ。

それに ”そんな”事態ではない、というおかしな自信があった。

母が夜な夜なまさにストーカーのような電話攻撃をしかけてくるとき、私には必ず”そろそろ来そうだ”という予感、いや、悪寒があった。何百キロ離れても、こんなことがあるのかと思いもした。精神的にまいっていたが故の私の思い込みだったのかもしれないが、元来、私は”そういうもの”を完全否定することはない。

あれからメールが来ない、と妹も心配しているのだろうか。

いやいや、中身のないメールを送信したところで、不要の心配を増幅させるだけだ。

その場しのぎのメールなどしないでおこう。

 

辺りが暗くなり始めた。

ただこうして座り続けるのも疲れる。

立ち上がったり、外を眺めたり、五、六歩歩いてみたり、動いていないと節々が固まってしまいそうだ。

ナースセンターからの使者が現れたのはそれから数分程たった頃だった。

 

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真坂さん、終わったようです。

 

 

あのフロアーまで降り、扉横にあるインターホンで名前を告げる。

どうぞ、という合図。

ドアを開け、続く廊下を数歩進むと視界が開けた。

 

ここが集中治療室か

それにしても広い

部屋、と言うよりは集中治療フロアーだな

 

前回の例もあるので、個室にでも入るのかと思っていた

けれどそこはぶち抜きのだだっ広いフロアーに様々な計器類が並んでいる

どうやら向こうの壁際、あちらの壁際といったところにそれぞれベッドがある

そこに誰かが横たわっているのかどうかは私の視力では確認できないが、多分複数の患者さん、そう、手術を終えた患者さんがそこにいるのだろう。

 

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こちらへどうぞ。

 

右へ曲がり直進した角にベッドがある

 

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手術の方はですね、無事予定通り終わりました。

 

と執刀医が近寄ってくる。

挨拶もそこそこに、横たわっていると思われるベッドの側に寄る

 

f:id:masakahontoni:20190225102304j:plain苦痛に顔をゆがめる母がいた

目が合った

私だとわかるようだ

 

痛いよう~

うめくように声をもらす母

 

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ああ、もう意識は戻っているのですね

 

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f:id:masakahontoni:20190221174424j:plainはい。問題ありません。(レントゲン写真を指しながら)このように脛骨に処置をしました。(腓骨の患部を指し)こちらの方はそのままにしてありますが、このような場合の通常の処置です。出血も100cc程と少なかったです。現在血圧が少々高めではありますが、このくらいあったほうが今は良いのでは、と見ています。

意識が戻り痛みに対する苦痛を訴えられていましたが、今はもう大分おさまってきた状態です。

1週間程様子を見て問題なければ、徐々にリハビリへと移行することになります。1~3週間ほどで立てるようにはなると思いますが、認知症ということもありますし、先々、ご自宅へ戻る、あるいは施設に入る、等いずれにしましても、今後は介護が必要になる状態と予想されます。

 

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本日はこちらのICUで経過を見守った後、問題なければ明日朝10時過ぎには病室の方へ戻りますので、以後面会は自由になります。

 

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わかりました。いろいろありがとうございました。

 

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では、母さん。明日また見舞いに来るから。

 

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それまで生きているかわからない・・・

 

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そんな口がきけるようならもう心配ないな。

 

私はまた、周りの看護師さんと執刀医を苦笑させてしまったようだ

でも、私がとっさに繰り出す言葉はその程度のものしかないのだから仕方が無い

 

いや、もしかしたら、”妙に”私が落ち着いていることに違和感を感じているのかもしれない。

 

2度目の骨折そして手術ということもある。そして前回は術後の母の狼狽ぶりがすごかった。

痛い痛いと大声で叫び、つけていた酸素吸入用マスクを何これ!とはずそうとしたり、トイレに行きたいと何度も繰り返し、そのまま用を足してもらって大丈夫と看護師さんに度ごと諭され、動いたらだめです!と注意も受け続けた。

その様を1時間以上枕元で見ながら、看護師さんと代わる代わる動いたらだめ!と声をかけ続けたあの時。

 

今回も同じような場面を覚悟していたが、それに比べれば今回の母はいたって静かに横たわっている様だった。それが正直な印象なのだから。

 

病室のある階に戻り、ナースステーションに 明日10時過ぎにまた来ますと挨拶をしS病院を出た。玄関側でバスを待つ間、妹にメール送信。

 

f:id:masakahontoni:20190218171516j:plain5時半、手術完了+術後の5分間面会終了。詳細は後ほど。

 

 

今晩は駅前のホテルに泊まる。バスに揺られながら逆算した。

そういうことか・・・

 

手術が終わり、母は大騒ぎしたのだろう。前回と同じく。

叫び騒ぐのが沈静化するに1時間はかかる。

となれば、実際の手術は4時半以前に終了していたのだろう。

手術に2時間かかるのなら、手術開始は2時半だ。2時に手術室のドアをくぐってから麻酔等の処置に30分。

 

そういうことか・・・

術後の叫び声を上げるような状態のまま面会、ではなく沈静化してからの面会、というのが、無用の心配をさせたくないというS病院の方針なのだろう。

 

ホテルの部屋で「脛骨 腓骨 骨折」について調べたが、こちらのblogがとても参考になった。

nichi-petit.com

手術前の担当医との面談時、

「中に金属が入っている状態で又骨を折るなどということになれば、新たな問題にもなってしまいます。」

と言っていたが、その理由もblog↑にあった;

『足に髄内釘が入っている状態で~、患部を再骨折させてしまった場合、中のチタンが歪んでしまい手術で取り出さなければなりません。歪んだチタンの棒は抜釘手術のようにまっすぐ引っ張っては除去出来ないので骨を砕きながら取り出す必要があり、大規模な外科手術になってしまいます。場合によっては足を失うことにも繋がりますので事故には十分注意しましょう。』

あの時担当医からのそういった説明はなかった。(尋ねなかった私が悪い、とも言えるが)

ただ、blog主のせいじさんと異なり、母の場合は高齢。抜釘処置は行わない可能性が高い(他情報源より)、と思われる。