それ 認知症かも

認知力の衰えを頑なに否定する年老いた母。それを反面教師に自らのこれからを考える息子。

ユマニチュード・・・

時々にNHKが取り上げるユマニチュード。遅ればせながら読んでみました、「ユマニチュード入門」。

薄い本で読むのにさほどの時間はかかりませんが、各TV局で過去放送された範囲とほぼ変わらないように感じました。

有志?の方々が録画したものをアップされたものがYoutubeとDailymotionにいくつかあるようです。

  • NHK認知症キャンペーン「ユマニチュードって何?」youtu.be/NGxmoGy51f0
  • ユマニチュード/認知症ケア/優しさを伝える技術 youtu.be/C4j_BCKDzrQ
  • ユマニチュードDVD一部内容 youtu.be/85piR9z2Iz4

dai.ly

f:id:masakahontoni:20181108155548j:plain動画中のナレーションに、「認知症のケアで特に深刻な問題を抱えているのは病院だ」とありますが、確かに病床数が多い病院となればなる程、それぞれの入院患者があちらこちらで、ということになるとすべき作業も行えないという壁に突き当たるであろうことは想像できます。

母が骨折で担ぎ込まれた病院でも、入院に際しサインを促されたいくつかの書類の中に、時と場合によっては必要に応じて手足の拘束をすることへの同意文書があったと記憶しています。

そして、何でこうなってしまうのだろう、とやるせなさを感じながら作業をする看護師さん達の姿も(想像上ではありますが)浮かんできます。

ユマニチュードについては、いくつかのTV局が報道し、”ユマニチュード4つの柱 見る、話す、触れる、立つ”については各番組が紹介し、既に見聞きした方も多いのではないかと思います。

145ページという限られたページ数の中でこの「ユマニチュード入門」が紹介しているもう一つ ”心をつかむ5つのステップ 出会いの準備、ケアの準備、知覚の連結、感情の固定、再会の約束”までは番組中(ナレーションとしては)紹介されていません。

更に、150余りあるという実践的な技術については、さらなる資料なり、研修を受けないと、それがどういうものなのかはわかりません。

ユマニチュードが認知症患者全てに対応できなくとも、30年以上と言われる年月の中で構築されてきたものを、一見しただけで、あるいは一読しただけで、一刀両断してしまうのは余りにももったいないことだと私は思います。

 

そのような意味も含め、私がこの本で一番注目したのは巻末の寄稿文でした。(以下抜粋)

「足利赤十字病院において転倒・転落の多いのは、脳外科の患者が多く入院する病棟や、回復期リハビリテーション病棟、そして緩和ケア病棟でした。つまり、リハビリテーションが進み歩くことができるようになった患者は、自分で何でも行おうとして、ベッドサイドやトイレの前で力つきて転倒してしまうのです。しかしこれは、歩くことができなかった患者が、歩くことを回復するプロセスにおいて起こる現象です。
つまりその意味では、重要な回復過程なのです。

患者家族にそのことを十分に説明できないために、転倒した事実のみを見て、医療者の怠慢ではないかと攻められる場合があります。また一定の確率で、転倒によって骨折などのリスクが発生することも事実です。高齢者ケアのこのような内実についてこそ、国民のコンセンサスを得る必要があるでしょう。そのためにもユマニチュードの考え方を広めていく必要があると私は思います。」

 

「そんなこと知っている、と思われる方もいるかもしれません。しかし、これら全ての行為を意識的に実践している人は少ないのではないでしょうか。」

 

 確かに、ユマニチュード関連本に対する書評などには、現場の方とおぼしき人々から

そんなことは知っている

既に私たち現場の者にとって目新しい内容ではない

そのポイントは学んできた教科書にさえ載っていること

 

等々の批評も一方で見受けられます。

 

現場のことはわからない私にも、そういえば前に読んだ本にも似たようなことが・・・と思いつく箇所はありました。例えば、「認知症は接し方で100%変わる!」という本には、(一部抜粋)

項目7.認知症の患者さんへの声かけが間違っていませんか?

【相手の前に回って話しかける】~

【目線を合わせて話しかける】~

【ゆっくりと低い声で話しかける】~

といった点についての記述/説明がありました。これは、ユマニチュード掲げるところの「見る」で提示している、相手の(狭い)視界に入るよう正面から(上からでも横からでもなく)目線を合わせる、合わせられるような所作についてのくだりとも共通点があります。

ただ、共通点がある云々より、壮絶な経験を毎日のように重ねている現場の介護職の方々から見れば、TVで放送されているような場面だけではない、という思いが強くあるのかもしれません。

それで万事うまくいくなら苦労しない

と訴えているのかもしれないとも(想像ですが)思います。

それでも、やはり私は繰り返したい(現場を知らずして、どの口が言う、と言う批判も承知の上で)。

一見しただけで、あるいは一読しただけで、一刀両断してしまうのは余りにももったいないことだと。

そして、この本が目的としているのであろう「ユマニチュードとは何か」という基本的な部分ぐらいは、もう、例えば、認知症介助士のテキストとか、他関連教本に掲載してもよいのではないかとさえ思う。

例えばコウノメソッドのごとく、BPSDに対する薬物療法が行われるのと平行して、ユマニチュードが提唱する”行為を意識的に実践する”、ことは”療法”の両輪として考え合わせるべきことなのでしょう。

言うは易く行うは難し、事件は現場で起きてるんだ!

という批判も受け止めつつも、です。

 

ただ、このユマチュードが(日本の)医療/介護現場でどれだけ速やかに浸透していくのかについて確信があるわけでもありません。なぜなら;

安心安全を皆が口にし、何か起こったとなれば責任の追及に走ってしまうこの環境下で一つのコンセンサスを生み出すのは容易ではありません。

夜な夜な病床から起き上がり院内徘徊中に転倒骨折、となれば、「一体、何を病院はやってるんだ」と怒鳴り込む親族・家族が現れ「責任問題に発展する」ケースも思い浮かぶからです。

www.nhk.or.jp