それ 認知症かも

認知力の衰えを頑なに否定する年老いた母。それを反面教師に自らのこれからを考える息子。

お世継ぎ問題

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最近こそ、母がその話題で時刻を省みず電話をかけてくることはなくなった(ように見える、今のところ)。これまで、この手の電話で琴線に触れるような事を繰り返されるたび苛立つことが多かったのを記憶してる。

 

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もう私も長くないし、いったい将来をどう考えているのか、この家、跡取りををどうするのか。早く結婚して、安心させてほしい。

  

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家をどうするのかって、うちは代々続く歌舞伎役者の家柄でもなければ、天皇家ゆかりの皇族の血を継ぐ家でもないよ。何を夢みたいな事言ってるのかな。

 

f:id:masakahontoni:20180823153903p:plain新聞で、養子縁組みの記事があった。これはいいのでは、と思って電話したんだけど。

 

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で、その養子は誰が育てるの?

 

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それは・・・

 

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ふざけたこと言うなよ。あなたは記事にある養子縁組みの制度とは何か、そもそものところにどれだけの想いがありますか?あなたは養子となるであろう子の幸せを第一に考えましたか?

 

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・・・

 

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あなたの考えているのは、自分のことだけだ。こうなったら、わたしは幸せだ、ということばかりだ。これで養子はこんな風に幸せになる、と露ほども考えたこと無いのでしょう? 何百年前とは違うんだよ。こどもを物のように言うのは金輪際止めてくれ。

 

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・・・

 

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俺は、俺の考え方で俺の人生を生きる。あなたの価値観を全否定しようとは思わないし尊重もしましょう。ただし、私の領域に勝手に入ってくるな。

 

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そうかい、あんたの考えはわかった。

 

そして、電話がプツッと切れる。

 

当時、似たような電話が妹のところにも何度かあったと聞いている;

 

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昨晩、母さんから電話があって、本当似が電話にでない。いったいあいつはいつ結婚するのか、お前何か聞いてないかとしつこいので、直接兄に聞いてくれ、と頼んだ。

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それが、ひどく興奮していて、ところでお前の旦那は長男なのか、と尋ねたり、いつ結婚したのか連絡もなければ、挨拶にも来ない、失礼だ! と唖然とするような言葉まで飛び出した。旦那も、向こうで心配し、いったいこんな時間にどうなってるんだ、と当惑している。

 

妹は既婚、子供はいない。そこを責めるようなヒステリックな追求・跡取り話に妹も閉口しているらしいが、確かに、藪から棒にそんな電話をされたら旦那さんからしても、たまったものではない事は容易に想像できる。。(私は常に留守電対応なので、"電話にはでない"が。)

自らの夫がALSで亡くなったことも、どこの病院に入院したのかも記憶にない母が、過去、娘の旦那に会ったことや、結婚の挨拶に母を訪れたことなど、すっかり忘れていたとしてもで今となっては驚くには当たらないが。

 

そもそも、妹と母は昔から折り合いが悪い、妹から訳を聞いたこともあるがここには書かない(個人情報にすぎる気がするので)。 

母本来の、周辺(含家族)感情を省みない、情緒先行型?性格の故でもあると私は思っている。

 

f:id:masakahontoni:20180917183222p:plainそもそも母さんは、かくかくしかじか(ここは本人の了解なしには書けない)

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plainそういえば、ずいぶん昔、あんたいつ結婚するの、と聞かれ、俺はしないよ、と応えたら、急にテンション上げて、じゃぁ誰が私の面倒みるの!と言い放ったことがあった。へぇ~とは思ったが。

 

ただ私は、それをあまり真剣に受け止めることもなく「それじゃぁ、よけい結婚は出来ませんなぁ」と内心思ったことだけは覚えている。勿論、その後なにかを私が考えるとき、それを思い起こし懸念したことなど全くないが。

 

なるほど、妹と母は『かくかくしかじか』の事ありて折り合いが悪い。では、私と母はどうなのか?

好き・嫌いの二択ならそれは ”嫌い”となる。 

馬が合わない、生理的に無理、価値観が違う、

言い方は色々あるのかもしれぬが、正直、物心着いた頃から母を好いてはいない。

 

当時(中高生時代から)、私は早く家を出たかった。

母はありとあらゆる場面で、他人と比較するのを常としている人だった。多分、それへの反発心もあいまってのことか、私は比較するのもされるのも全くもって嫌いだ。母のように他人をなにかにつけ四六時中気にすることもない、人を見て自分の行動を起こすことも嫌いだ。

 

食事の最中もこれはいくら安かったいくら得した云々に始まり、ご近所のあの人はああだこうだの、的話が多く、いつしかそれに耐え難く いたたまれない気持ちばかりがつのるようになっていた。やがて二十歳の声を聞く前に家を離れる機会が訪れ、これ幸いと家を出、これまで郷里から離れたところで生活してきた。

都会の生活は私にはとても居心地よく、良くも悪くも個人、隣は何をする人ぞ、そんな環境での生活が、郷里でのそれより長くなり、故郷への郷愁というものが私には果たしてあるのかさえも今では全く疑わしい(多分無い、と思う)。