それ 認知症かも

認知力の衰えを頑なに否定する年老いた母。それを反面教師に自らのこれからを考える息子。

決戦は火曜日→初白星

包括さんの機転で、9月早々からスタートとした"通所サービス"、その名も「脳活教室」。

9月早々から毎週火曜日に通う予定だったが、既に第一回目は台風のお出ましで遂行するに至らず。

 

まるで謀ったかのように、初戦から黒星となり、さて、これで休み癖などついてしまったらと心配する一方、かといって、どうしたこうした、と周りで騒ぐと、逆にあらぬ反発を買うことになる、というのもこれまでのパターン。

二戦目も"試合放棄”なんてことになるのなら、いよいよ三戦目は付添人(=私)がつかないとだめかな、と思い始めていた。

 

さすがに、こういう周辺環境だと、寝付きも良くはないが、うとうととしながらおもむろに枕元の端末を見ると、留守番電話に着信ありの通知・・・。

 

おいおい、勘弁してくれよ。こういう(多分いつもの)思いに任せた?時間関係なしの電話が減るようにと、毎週日曜日の週"慣"電話伺いを挙行しているのに・・・。

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「もしもし・・・、なによ、夜になって。」

 

f:id:masakahontoni:20180823153903p:plain

 

「いやね、これからのことについて相談しようと思って。あなた、定年になったら・・・」

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「定年になったらって、いつの話かな? こうやって、夜にあれこれ考え込んだり、悩んだりしても、ストレスがたまるだけなので、夜は落ち着いて寝よう、考え事は明るい昼間にしよう、だったよね。」

 

f:id:masakahontoni:20180823153903p:plain

 

「はい」

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「くよくよ考えたところで、なにも解決しないよ。夜中に俺のところへ電話をかけても悩みが消えるわけではないよ。」

 

f:id:masakahontoni:20180823153903p:plain

 

「はい」

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「せっかくだから、ついでに聞くけど、その後、逆流性食道炎の方はどう?」

 

f:id:masakahontoni:20180823153903p:plain

 

「もう治ったよ」

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「いやいや、それは薬を飲んでいるからだよ。ものの本には、逆流性食道炎は喉の通り道にある弁が衰えてきたせいもあるので、治ることはない、と書いてあったよ。小康状態になっても、先日の手紙に書いたように、食べてすぐ寝ない、とか、寝るときは多少頭側を高くして、体勢的にも逆流しないような姿勢にも気をつけた方がいいよ。」

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「あ~それと、目がさえてきたので、ついでに聞くけど、例の集いへの参加はその後どうなった?」

 

f:id:masakahontoni:20180823153903p:plain

 

「あ~あれ? この前行ったよ。」

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「えっ!本当!それはすごいや母さん!」

 

f:id:masakahontoni:20180823161709p:plain

 

「そうかね!」

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「そうだよ、実は俺もどんなことをやるのか興味があったんだよ。母さんが恥ずかしがって行かないのなら、いよいよ俺が里帰りして園児のように手を引いて連れて行こうかと思ってたとこだよ。」

 

f:id:masakahontoni:20180823161709p:plain

 

「そんな必要はないよ。自分で行けるよ。」

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「で、どんなことしたの?」

 

f:id:masakahontoni:20180823161709p:plain

 

「まぁ、あれも思った通りの内容だったけど、みんな熱心に聞いていたよ。最初に一人一人自己紹介して、わたしは云丁目の真坂です、と挨拶したよ。そしたら、40歳ぐらいの人が近づいてきて色々話をしたよ。」

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「そう、でも母さんと同じぐらいの歳の人も沢山いたでしょ?」

 

f:id:masakahontoni:20180823161709p:plain

 

「ああ、そんな人ばかり。みんな、時間を持て余してるのかな。」

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「へぇ~、でも面白そうじゃない。内容がどうこうより、家にこもって誰とも話さないと、身体を動かす機会も、頭を使う機会もない。それじゃぁ、高校生だって、身体がなまってくるよ。薬だと思って、毎週たったの1日なのだから習慣にしたらいいよ。久しぶりの外出で疲れたでしょ?」

 

f:id:masakahontoni:20180823161709p:plain

 

「まぁ、ちょっとね。でも確かに、色々話をする機会になったよ。」

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「それは、すごいや。こりゃ、いい話を聞いたわ。うれしいよ!」

 

f:id:masakahontoni:20180823161709p:plain

 

「そうかね!」

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「そうさ、それで慣れてきたら、例えば昔のようにプールにも行ってみるとか、徐々に増やしていけばいいんだよ。よく頑張って出席したね、母さん!」

 

f:id:masakahontoni:20180823161709p:plain

 

「そうだね!来週は敬老の日があるでしょ、その日にも集いがあるんだよ。それにも行こうかな、と思ってる。」

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「いいね~そういう話を聞くと俺もうれしくなるよ。」

 

f:id:masakahontoni:20180823161709p:plain

 

「そうかね!」

 

f:id:masakahontoni:20180823154054p:plain

 

「まぁ、夜悩むのはとにかくやめて、ぐっすり寝てよ。外に出るようになれば、発散にもなるし、寝付きもよくなるはずだよ。」

 

f:id:masakahontoni:20180823161709p:plain

 

「そうかな」

 

そんなこんなで、母の機嫌もよくなり、今週の「二戦目」が白星だったことまでわかり、私の方も気分的に楽になった次第。

 

f:id:masakahontoni:20180913171055j:plain察するに、40代の方が脳活に通うというのも考えづらいので、集いの講師の方ではないかと思う。

また、出席の方々と世間話した中で、(母は人と自身を比較する癖がある)自らに思いをはせ、ストレスがたまった上での私への電話だったのかなと今は想像している。

 

しかし、ここのところの母は、褒められると/もちあげられると、目に見えて機嫌がよくなる・・・これはもしかして「褒められて伸びる」タイプに確変??? - ということは、私に求められるのは「いかにして褒め上手になるか」なのかもしれない。

 

f:id:masakahontoni:20180913171824j:plainさて、これで、ここまでの「戦績」は一勝一敗。

来週月曜日は敬老の日、翌日はまた決戦の火曜日だ。

 

 

台風来るなよ。

 

earth.nullschool.net