歳をとれば食が細くなる(多分)。
たくさんは食べれないけど、いや、だからこそ? おいしいものが食べたい。
「何か食べたいものある?」
「そうね、何かおいしいものがいいね」
「おいしいものって、例えば?」
「・・・」
そんな会話を何度繰り返しただろうか。
こんな(→)キャッチコピーがあったのを思い出しますが、それはそれとして、
確かに母の好物といえば、昔から甘いものと脂っこいものだった。といっても、特別なものではない。
甘いもの、といえば、ケーキ、今ならアイスクリーム、要は菓子類だ。そして母にとっての脂っこいもの、は日本人の国民食?唐揚げだ。
そんな母も、数ヶ月前から、奥歯がぐらつくので固いもの、固形物がなかなかかみ砕けない、と悩みを口にするようになった。
脂っこいのは気になるが、それでも鶏肉だからと、以前は食べてくれるだけでもありがたいと思っていた。その唐揚げさえ、今の母に奥歯での咀嚼は難しい。
「きちんと食べなきゃ、身体にも頭にも栄養いかないよ」
はそろそろ寝言になって出てくるんじゃないかと恐れるほど、私のお決まりの口上となっているが、母の答えもこれまた口癖のように、
「何かおいしいもの」
だ。
そんな母が、ここのところ大変気に入り珍しくも受け入れてくれたものがある。
栄養ドリンクだ。
「栄養ドリンク、また送っておくから」
「えっ、そうなの! 悪いわ〜、いつもありがとう。あれは、おいしいから楽しみなのよ。」
とにかく、この話題には上機嫌で応える母。この数ヶ月10日に1度の割合で送り続けている。これだけは、忘れず欠かすことなく毎日飲んでいるようだ。
なぜか・・・
やっぱ、「甘いから」なんだと思う。
実は、それ以前、母に試してもらったものがある。
いわゆる介護食、だ。キューピーの「やさしい献立」というレトルト品が、常温備蓄もできるので、どうかなと思い試食してもらったのだが、母の反応は、
「う〜ん、あまりおいしくはないね。」
と多くを語らなかった。以前にも、メディカルフードサービスの「やわらか食」なる冷凍弁当を試したが、
「私にはやわらかすぎて合わなかった」
という感想。
先の、キューピーのレトルト品も、柔らかさのグレードを選択でき、「UDF 区分2:歯茎で潰せる」を選んだところが受け入れられなかった理由の一つだったのかもしれない。
区分1の容易に噛める、だったらどうだったのか、機会があれば将来また試してみたい。また、今後、母の咀嚼力が悪化しないとも限らないので、冷凍弁当「やわらか食」も将来の選択肢から外したわけではありません。
包括さんにも、先日、母の食生活を取り巻く問題点を話してあるので、そちらの方からの働きかけも期待したいところ。
総合すると、現状、母の求めるものは、ぐらつく奥歯で負担にならないくらいの柔らかさ、そ・し・て・"おいしいもの"、ということなのだが・・・悩む。
そんな、母の心を捉えて放さない(言い過ぎか?)"栄養ドリンク"・・・それは、明治のメイバランスMiniのアソートパックという栄養調整食品/ドリンク。8種の味が各3本づつ、1日3本飲んで8日分相当。
電話の度、”朝は卵入り味噌汁をしっかり飲んでいる”、が口癖の母だが、”じゃぁ、昼・夜は”と聞くと、途端に口を濁す。
また、お粥と甘く煮た豆だけ、のような食生活ではないかと想像しているので、正直なところ「甘い」のにちょっと引っかかる部分あれど、飲む意味はあるのでは、とすがるような気持ちで送り続けている。